7月は夏本番の始まりを告げる月。
山や海のレジャー解禁、七夕や花火大会といった風物詩、そして各地で繰り広げられる伝統的なお祭りなど、日本の四季と文化が色濃く表れる季節です。
また、お中元や暑中見舞いなど、人とのつながりを大切にする風習もこの時期ならでは。この記事では、そんな7月の行事や旬の食、季語や風物詩を詳しくご紹介します。

「7月といえば」を見つけていきましょう。
7月1日:山開き・海開き・半夏生
山開き・海開き
7月1日は、本格的な夏の訪れを告げる「山開き」と「海開き」が各地で行われます。
山開き
山開きは、登山シーズンのスタートを知らせる行事で、この日から多くの山が登山客に開放されます。
たとえば、富士山や立山、白山などの有名な山では、神社の神主さんが山の安全を祈る「安全祈願祭」が行われ、登山者にとっては、この日から安全に山を楽しめるという目印になります。
海開き
海水浴シーズンの始まりを告げる行事です。
海開きの日には、浜辺で神事が行われ、海の安全や事故がないことを祈られた後に、初泳ぎや地元のイベントなどが行われ、夏の海のレジャーが本格的に始まります。
半夏生
半夏生(はんげしょう)は、夏至から数えて11日目にあたる節気で、農業の節目とされてきました。
この日までに田植えを終えるのが良いとされ、農作業を労う意味でも特別な食事が用意されます。
半夏生の行事食
関西地方では、半夏生にタコを食べる習慣がありますが、タコの足のように稲がしっかりと根を張ることを願う意味があります。
また、福井県では焼き鯖を食べる風習もあります。
7月6日頃:小暑
小暑(しょうしょ)は二十四節気の一つで、暑さが本格化し始める時期を指します。
梅雨が明ける頃とも重なり、これから続く猛暑の前触れともいえる節目の日です。

7月7日:七夕
七夕(たなばた)は、織姫と彦星が年に一度天の川で出会うというロマンチックな伝説に基づく行事です。
短冊に願い事を書いて笹に飾る風習があり、各地で七夕祭りが開催されます。

7月16日:藪入り
藪入り(やぶいり)は、昔の日本で行われていた習慣で、特に江戸時代(1603年〜1868年)から明治時代の初め頃まで大切にされていた日です。
この時代、多くの若者が「奉公(ほうこう)」といって親元を離れ、商家や武家、農家などに住み込みで働いていました。
藪入りは、そんな奉公人が年に2回、1月16日と7月16日にだけ実家へ帰ることが許される特別な日で、久しぶりに家族と過ごすことができる貴重な時間となり、家族と食事をしたり、お墓参りをしたりして、心と体を休める日とされていました。
現代では奉公という働き方はほとんどなくなりましたが、「藪入り」という言葉は今でも一部地域で残っていて、家族の絆や労いの気持ちを大切にする日本の風習の一つとして受け継がれています。
7月第三月曜日:海の日
海の日は、海の恩恵に感謝し、海洋国・日本の繁栄を願う祝日です。

海の日の行事食
海にちなんだ魚介料理が多く食卓に並びます。
特に旬を迎える貝類や白身魚、寿司や海鮮丼などが人気ですが、海に出かけてバーベキューを楽しんだりして海に関連した食べ物で楽しみます。
7月22日頃:大暑
大暑(たいしょ)は二十四節気の一つで、一年の中で最も暑いとされる時期で、夏本番の始まりです。

7月の伝統文化:祝いと祭り
7月1日~7月31日:祗園祭(京都府)

日本三大祭りの一つである祇園祭(ぎおんまつり)は、京都市で7月いっぱいにわたって開催される、日本を代表する伝統的なお祭りの一つです。
約1100年の歴史があり、もともとは疫病をしずめるために始まった「御霊会(ごりょうえ)」が由来とされています。
祭りの中心となるのは、京都の中心部・四条通(しじょうどおり)周辺で行われる「山鉾巡行(やまほこじゅんこう)」です、高さ20メートルにもなる豪華な山鉾(やまぼこ)と呼ばれる曳き山(ひきやま)を、多くの人の手で町中に引き出し、ゆっくりと巡らせるものです。
豪華な飾りが施された山鉾は「動く美術館」とも言われ、毎年多くの観光客を魅了しています。
祇園祭の見どころは、7月17日の「前祭(さきまつり)」と7月24日の「後祭(あとまつり)」に行われる山鉾巡行ですが、7月1日からの1か月間は、さまざまな神事や行事、地域の催しが続きます。
「宵山(よいやま)」と呼ばれる前夜祭では、提灯に灯りがともり、夜店が並び、浴衣姿の人々でにぎわいます。
祇園祭は京都の八坂神社のお祭りであり、地域の人々によって長い年月をかけて守られてきた文化の象徴でもあり、地元の人も観光客も一緒になって楽しめる日本の夏を代表するお祭りです。
7月1~15日:博多祇園山笠(福岡県福岡市)

博多祇園山笠(はかたぎおんやまかさ)は、福岡市博多区で毎年7月1日から15日まで開催されるお祭りで、約770年以上の歴史があります。
博多の総鎮守である櫛田神社(くしだじんじゃ)の祭礼として行われ、勇壮でエネルギッシュな行事として全国的に有名です。
祭りの最大の見どころは、最終日の早朝に行われる「追い山(おいやま)」です。
追い山は、締め込み姿(ふんどし姿)の男性たちが高さ約5メートル・重さ約1トンの山笠(やまかさ)を担いで、全長約5kmのコースを駆け抜けます。
その迫力とスピード感、掛け声「オイッサ!オイッサ!」の響きが、博多の町全体に熱気をもたらします。
また、祭り期間中は「飾り山(かざりやま)」と呼ばれる豪華な人形飾りの山が市内各所に展示され、観光客が自由に見学できるようになっていますが、飾り山は高さ10メートル以上にもなることがあり、日本の伝統美と職人技が光ります。
博多祇園山笠は、ユネスコ無形文化遺産にも登録されており、地域の人々にとって誇り高い夏の風物詩となっています。
7月31日~8月4日:八戸三社大祭(青森県)

八戸三社大祭(はちのへさんしゃたいさい)は、青森県八戸市で毎年7月31日から8月4日まで行われる、東北地方を代表する伝統的なお祭りです。
約290年の歴史があり、地元の人々にとって非常に大切な夏の行事として親しまれています。
このお祭りは、八戸市にある三つの神社である
- 長者山新羅神社(ちょうじゃさんしんらじんじゃ)
- 神明宮(しんめいぐう)
- 龗神社(おがみじんじゃ)
にゆかりのある神事を中心として行われ、三社それぞれの神様をまつる行列が町中を練り歩き、神聖な雰囲気の中に華やかさが広がります。
八戸三社大祭の最大の見どころは、きらびやかで巨大な山車(だし)の行列です。
各町内が競い合って制作する山車のテーマは歴史や神話、歌舞伎の名場面など多岐にわたり、芸術性の高さが特徴ですが、高さ10メートルを超えるものもあり、精巧な人形や装飾で彩られています。
昼の山車行列は壮観ですが、夜のライトアップされた「夜間運行」では、幻想的な雰囲気に包まれ、見る人の心を惹きつけます。
また、法被姿の参加者による太鼓や笛の演奏、掛け声なども祭りを盛り上げ、地域の一体感を強く感じることができます。
八戸三社大祭は、2016年にユネスコ無形文化遺産にも登録されました。地域の伝統と誇りを未来へつなぐ、まさに「動く芸術」とも呼ばれる、八戸の夏の象徴的な祭りです。
7月14日:那智の扇祭り 熊野那智大社(和歌山県)

那智の扇祭り(なちのおうぎまつり)は、和歌山県の熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)で毎年7月14日に開催される、勇壮かつ神秘的な神事です。
正式には「那智大社例大祭(れいたいさい)」と呼ばれ、日本三大火祭りのひとつにも数えられています。
この祭りの最大の特徴は、高さ6メートルを超える「扇神輿(おうぎみこし)」と、12本の「大松明(おおたいまつ)」を使った儀式です。
扇神輿は、神様の依代(よりしろ)としての役割をもち、那智の滝の前から神社までの石段を登って運ばれます。
この神輿を迎えるために、白装束をまとった氏子たちが直径50cm以上・重さ50kg以上もある大松明に火をつけて振り回し道を清めながら登っていきますが、その姿は大変迫力があり、炎と滝、そして神々しい儀式が融合した光景はまさに圧巻です。
那智の扇祭りは、自然の力と神仏の信仰が融合した独特の祭りであり、熊野信仰の中心地であるこの地ならではの神秘的な雰囲気を感じさせてくれます。
7月24日~25日:天神祭(大阪府:大阪天満宮)

天神祭(てんじんまつり)は、大阪市の大阪天満宮(おおさかてんまんぐう)で毎年7月24日と25日に行われる、日本三大祭りの一つです。
学問の神様・菅原道真(すがわらのみちざね)をまつるこの神社の祭礼として、1000年以上の歴史があります。
天神祭の特徴は、「陸渡御(りくとぎょ)」と「船渡御(ふなとぎょ)」という2つの行列です。
陸渡御では、平安時代の装束を身にまとった人々や神輿、だんじり(山車)が大阪の町を練り歩き、夕方から夜にかけては約100隻の船が川を進む船渡御が行われます。
神輿を乗せた御座船(ござぶね)を中心に、華やかな提灯を灯した船団が大川をゆっくりと進む様子は、まさに水の都・大阪ならではの美しい風景です。
25日の夜には、奉納花火が打ち上げられ、夏の夜空と川面を彩ります。人々は浴衣姿で見物に訪れ、屋台や灯りとともに夏の風情を楽しみます。
天神祭は、神事としての厳かさと、市民が参加して盛り上がる賑やかさをあわせもった祭りですが、地域の誇りとして長年にわたり受け継がれており、地元の人々と観光客が一体となって楽しめる、まさに大阪の夏の風物詩です。
7月のその他行事・イベント
梅雨明け
梅雨明けの時期は地域によって異なりますが、一般的には7月中旬から下旬にかけて宣言されることが多いです。
関東や近畿では7月20日前後、九州ではもう少し早いこともありますが、気象庁がその年の天候や気圧配置をもとに「梅雨明けしたと見られる」と発表します。
梅雨が明けると、空が一気に夏らしくなり、晴れの日が続くようになります。同時に気温もぐっと上がり、30度を超える日が多くなってくるので、梅雨明けは「夏のはじまりのサイン」と感じる人は多いです。
お中元

お中元(おちゅうげん)は、7月にお世話になっている人へ贈り物をする、日本の伝統的な風習です。
もともとは仏教や中国の道教の行事が由来とされており、「感謝の気持ちを形にする」習慣として、江戸時代から広まりました。
お中元を贈る相手は、日頃からお世話になっている方が中心です。贈る時期は地域によって少し違いがあり、関東では7月初旬〜中旬、関西では7月中旬〜8月初旬が一般的です。
お中元は、単なる贈り物ではなく感謝の心を伝える機会でもあり、受け取った人との関係をより良くする、日本らしい温かみのある習慣です。
暑中見舞い

暑中見舞い(しょちゅうみまい)は、夏の暑さが厳しい時期に、相手の健康や近況を気づかうために送る季節のあいさつ状です。
暑中見舞いを送る時期は「梅雨が明けたあとから立秋(8月7日頃)まで」が目安です。これ以降に送る場合は「残暑見舞い(ざんしょみまい)」に切り替わります。
かつては手紙やはがきが主流でしたが、最近ではメールやSNSなど、デジタルな暑中見舞いを送る人も増えてきました。ただし、心を込めた直筆のメッセージや手作りのカードなどは、今でもとても喜ばれます。
相手を思いやる気持ちを伝える手段として、日本の夏の風情を感じられる大切な文化のひとつです。
土用の丑の日

土用の丑の日(どようのうしのひ)は、夏の土用の期間中に訪れる「丑の日」のことで、特に「うなぎを食べる日」として日本中で知られています。
土用の丑の日は、夏の風物詩であるとともに、健康を気づかう意味も込められた、日本独自の季節行事のひとつです。
「土用」は、立春・立夏・立秋・立冬の直前の約18日間を指しますが、特に「夏の土用」(7月中旬〜8月初旬ごろ)が重視されます。

花火大会

花火大会(はなびたいかい)は、日本の夏を象徴するイベントのひとつで、7月から8月にかけて全国各地で盛んに行われます。
花火大会のルーツは、江戸時代にさかのぼり1733年に隅田川で行われた「水神祭(すいじんさい)」で、悪疫退散や亡くなった方の供養のために花火が打ち上げられたのが始まりとされて以来、花火は人々の心を癒す夏の風物詩として親しまれるようになりました。
代表的な花火大会には、「隅田川花火大会(東京都)」「長岡まつり大花火大会(新潟県)」「天神祭奉納花火(大阪府)」などがあり、数万発もの花火が打ち上げられる大規模な大会には、全国から多くの観光客が訪れます。
最近では、音楽に合わせた「音楽花火」や、「ナイアガラ花火」と呼ばれる滝のような演出、環境に配慮した静音花火なども登場し、進化し続ける日本の花火文化を体感できる日本の夏の夜に欠かせない風景のひとつとなっています。
7月の季語や風物詩

7月の季語
- 蝉
- 夕立
- 夏空
- 涼風
- 風鈴
などが代表的ですが俳句や短歌の世界では、これらの言葉が夏の情景を描写するのに使われます。
夏の風物詩
7月には、日本の夏を彩る多くの風物詩が街や暮らしの中で見られるようになります。
7月街なかや暮らしの風物詩
風鈴の音は、聞くだけで涼しさを感じさせる夏の代表的な音。
打ち水は、道に水をまいて涼をとる日本ならではの暮らしの知恵です。
蚊取り線香の香りや、スイカを割る光景、蝉の声や浴衣姿の人々も、夏を感じる要素として親しまれています。
また、金魚すくいや縁日、団扇(うちわ)なども、子どもから大人まで楽しめる日本の夏らしい光景として、多くの人に愛されています。
7月食べ物の風物詩
食べ物では、かき氷、ところてん、冷やし中華などのひんやりした料理やデザートが人気です。
これらの風物詩は、単なる習慣ではなく、四季の移ろいを感じ取る感性や文化のあらわれでもあり、7月の夏の風情を感じ取ることができるのです。
7月の年中行事やイベント!祭りや行事食まで旬を知る のまとめ
7月は、日本の伝統行事や風習、季節の食文化、夏ならではのイベントが盛りだくさんの月です。
七夕や祇園祭、土用の丑の日、花火大会など、どれも日本の四季を大切にする心や、家族・地域とのつながりを感じられるものばかりです。
また、暑中見舞いやお中元といった思いやりを形にする風習、風鈴や打ち水などの夏を快適に過ごす工夫も、古くから伝わる日本の知恵が詰まっています。
こうした行事や風物詩を知って日々の生活の中でも7月を楽しみたいですね。