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見せて・見させて+いただく|「さ」入りは間違い?

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「見せていただく」と「見させていただく」。
ふだん何気なく目にする言い方ですが、とくに「見させていただく」の“さ”に、なんとなく違和感を覚える方もいるのではないでしょうか。

「“さ”が入るのは間違いだと聞いたことがある」
「でも、ビジネスメールではよく見るからダメとも言い切れない気がする」

こんなふうに、頭の中で情報がまざってしまい、「結局どう考えればいいの?」と思ってしまいます。

この記事では「見せて」と「見させて」+いただくの使い方についてのモヤモヤを、少しでもスッキリ整理できるようにまとめました。

*この記事でわかること*

  • 「見せて」と「見させて」の違い
  • “さ入り”に違和感をもたれる理由
  • どんな場面なら「見させていただく」でも自然なのか
  • 迷ったときに便利な無難表現

結論:見させていただくも大きな誤りではない

まずは、「見させていただく」の“さ入り”が、間違いなのかどうかという全体の結論からお話しします。

「さ入りはダメ」「よく使うから大丈夫」など、いろいろな声がある中で、どこに線を引けばよいかを、ざっくり整理していきます。

「見させていただく」は日本語として成り立つ

「見させていただく」も、日本語として意味が通じる表現で、「“さ”が入っているから完全に間違い」というわけではありません。

実際にビジネスの場でも広く使われており、聞き手が内容を理解できないほどおかしな日本語ではないからです。

大事なのは「さ入り=ダメ」と決めつけることではなく、「どんな場面なら自然か」「どんな場面だと重く聞こえそうか」を考えながら使うことだと言えます。

「さ」が入るかどうかは「誰が見るか」で変わる

“さ入り”がおかしいかどうかを考えるときは、「実際に見るのは誰か」を意識すると整理しやすくなります。

  • 相手が見えるようにしてくれるなら「見せて」
  • 自分が見せてもらう許可をもらうなら「見させて」

というイメージです。

“さ”のあり・なしは、正誤よりも「動きの主役が相手か自分か」の違いが表に出たもの、ととらえると分かりやすくなります。

強くNGと言い切るより「場面で選ぶ」イメージに近い

「見させていただく」は、すべて間違いというより、「場面によっては少しくどく感じられることもある表現」です。

いつでも“さ入り”にすれば安心というわけでも、すべて封印したほうがいいというわけでもありません。

“さ入り”が自然なケースとそうでないケースを整理しながら、「場面に合わせて選ぶ」という現実的な考え方を軸にしていきます。

見せて・見させて+いただくの基本の違い

ここでは、「見せていただく」と「見させていただく」の基本的な違いを、“さ入りかどうか”という目線で整理します。

「見せていただく」=相手が見せてくれるときの言い方

「見せていただく」は、相手が何かをこちらに見えるようにしてくれる場面で使う言い方です。

たとえば「先日は新商品のサンプルを見せていただき、ありがとうございました」のように、相手が用意して見せてくれたことに対してお礼を伝えるときに自然です。

この場合、“さ”を入れて「見させていただく」とする必要はなく、「見せていただく」で十分ていねいな言い方になっています。

「見させていただく」=自分が見せてもらう許可をもらう言い方

「見させていただく」は、自分が見たいと思っていて、「見てもよいですか」と相手に許可をもらうイメージの言い方です。

たとえば「こちらの資料を、社内でも見させていただいてもよろしいでしょうか」のような場面では、“さ入り”のほうが、「見せてもらう側」という立場が伝わりやすくなります。

このように、“さ入り”には「許可を受けている」というニュアンスを添える役目があります。

「相手がするか」「自分がするか」で言い方が変わる

「見せて」と「見させて」の違いは、結局「相手が動いているか」「自分が動いているか」というところにあります。

“さ入り”だから間違いというより、「自分がさせてもらう側なら“見させていただく”が自然」という場面もある、ということです。

「この場面では、見ている主役はどちらかな?」と考えると、言い方の選び方が少しラクになります。

「見せる」「見させる」の元の形をやさしく整理

次に、“さ入り”のもとになっている「見させる」という形を、イメージしやすい言葉で整理してみます。

「見せる」は相手に見えるようにする働きの言葉

「見せる」は、「自分が持っているものを相手にも見えるようにする」動きを表しています。

写真を相手のほうへ向けて「これ、見て」と差し出すような場面が、まさに「見せる」です。

「見せていただく」は、この動きに「いただく」がついた形なので、「見えるようにしてくれた相手への感謝」を込めた言い方になります。

「見させる」は「見てもよい」と許可を出すイメージ

「見させる」は、「見たい人に対して『見てもいいよ』と許可を出す」イメージの言葉です。

まだ公開前の資料などを「特別に見てもいいですよ」と言うような場面が近いかもしれません。

「見させていただく」は、この「見させる」に「いただく」がくっついた形で、「見せてもらう許可」の気持ちをていねいに表した“さ入り”の表現だと考えることができます。

もともとの形を知ると“さ入り”の理由が分かりやすい

「見せる」は相手に見えるようにする動き、「見させる」は相手が見ることを許す動き。この違いを知っておくと、“さ入り”だからダメというより、「許可が意味を持つ場面なら“見させていただく”もあり」だと分かります。

“さ”そのものに善し悪しがあるのではなく、「どの動きをていねいに言い表したいか」の違いが形に出ている、ととらえるとスッキリします。

「見させていただく」に違和感を覚えるのはなぜ?

一方で、「見させていただく」という“さ入り”の言い方に、なんとなくモヤモヤを感じる人も少なくありません。ここでは、その理由をいくつかの角度から整理してみます。

「見る」は自分からできる動きなので重く感じられやすい

「見る」という行動は、景色やテレビ、スマホの画面など、特別な許可がなくてもできる場面が多いですよね。
そうした軽い動きに対して、「見させていただく」と“さ入り+いただく”でかなりていねいに言われると、「そこまでかしこまらなくても…」と感じる人もいます。

この「動きの軽さ」と「言葉の重さ」のギャップが、違和感につながることがあります。

許可があるのかどうかが文だけでは分かりにくいことがある

“さ入り”の「見させていただく」には本来、「相手の許可を得て見る」というイメージがありますが、その許可が本当に必要かどうか、文章だけでは分かりにくい場合があります。

たとえば、社内で自由に見られる資料について「見させていただきます」と書くと、「そこまで許可を強調しなくてもいいのでは」と感じる人もいるかもしれません。

許可がはっきり見えない場面で“さ入り”を多用すると、「形だけていねい」に感じられることがあるのです。

とても丁寧な敬語が重なりすぎて聞こえる人もいる

「見させていただく」は、「見させる」と「いただく」という丁寧な要素が重なった表現です。
さらに「〜いたします」などが続くと、敬語がいくつも積み重なっているように聞こえ、「少しくどい」「まわりくどい」と感じる人もいます。

ていねいに言おうとする気持ちはとても良いものですが、相手によっては重たく受け取られてしまうことがある、という点は頭の片すみに置いておくと安心です。

「見させていただく」は間違い?場面で変わる使い分け

では、“さ入り”の「見させていただく」は、最終的に「間違い」なのでしょうか。それとも「場面次第であり」なのでしょうか。ここでは、その目安になる考え方をまとめます。

相手の資料や作品などを見せてもらう場面では自然な言い方

相手の持ち物や限定された資料、公開前の作品などを見せてもらう場面では、「見させていただく」は自然な“さ入り”表現になります。

たとえば、「このたびは開発中の新製品を見させていただき、ありがとうございました」のように、「特別に見せてもらった」ことや「許可をもらった」ことを伝えたいときです。

このような場面では、“さ入り”が「許可+感謝」の気持ちをうまく表してくれます。

言葉としては誤用とまでは言えず、実際によく使われている

“さ入り”の「見させていただく」は、言葉としてまったく成り立っていないわけではなく、現実の会話やメールでもよく使われていますが、「いつでもどこでも“さ入り”」にしてしまうと重く感じられることがあります。

「ここは“さ入り”にする意味があるかな?」と軽く考えると、バランスが取りやすくなります。

どんな場面でも多用すると「くどい」と感じられることもある

“さ入り”自体が悪いわけではありませんが、どんな場面でも何度もくり返すと、読み手の負担になることがあります。

メールの中に「〜させていただきます」「〜させていただいております」が何度も登場すると、内容より言い回しが気になってしまうこともありますよね。

「ここはシンプルに『拝見しました』でいいかも」「『確認しました』のほうが読みやすそう」と感じたところでは、あえて“さ入り”にしないのも選択の一つだと言えます。

例文でくらべる見せて・見させて+いただく

ここからは、“さ入り”と“さなし”の違いを、具体的な例文で見ていきます。同じような場面でも、どちらを選ぶかで少し印象が変わることを、イメージしながら読んでみてください。

相手が主役になる例文:見せていただくを使うパターン

  • 先日は新サービスのデモ画面を見せていただき、ありがとうございました
  • 完成したデザイン案を見せていただき、大変参考になりました

のような文では、相手が準備して見せてくれたことにお礼を言いたい場面ですが、この場合は、“さなし”の「見せていただく」が素直で自然です。

「見させていただく」としてしまうと、かえってややこしく聞こえることもあります。

自分が主役になる例文:見させていただくを使うパターン

  • こちらの契約書案を、弊社の法務担当にも見させていただいてもよろしいでしょうか
  • 今回の企画書を、他部署のメンバーにも見させていただきたいと考えております

上記のような文では、自分側が見せてもらう許可をたずねています。このような場面では、“さ入り”の「見させていただく」が、「勝手には見ません、許可をいただきたいです」という気持ちを表す役割を果たしてくれます。

どちらも使えるが印象が少し変わる例文

  • 資料を見せていただきました
  • 資料を見させていただきました

どちらも意味は通じますが、前者は「相手が見せてくれたこと」に、後者は「自分が見たこと」に重心があります。

どちらが正しいというより、「相手の行動を中心に伝えたいか」「自分の行動を中心に伝えたいか」で選ぶと、“さ入り”かどうかの判断がしやすくなります。

ビジネスメールでの自然な敬語の選び方

ビジネスメールでは、とくに“さ入り”をどうするか悩みやすいと思います。ここでは、よくある場面別に、「この場合はこれが無難」という目安をまとめます。

相手が資料や画面を用意してくれるときは「見せていただく」が自然

会議やオンライン打ち合わせで、相手がデモ画面や資料を共有してくれたときには、「見せていただく」が自然です。

  • 本日は新機能のデモ画面を見せていただき、ありがとうございました
  • 先日の会議で、詳細な資料を見せていただき、大変勉強になりました

のような書き方で、十分ていねいな印象になるので、この場面であえて“さ入り”にする必要はありません。

「この内容を見てもよいですか」とたずねるときは「見させていただく」も使える

まだ自分が見ていない資料や、取り扱いに気をつけるべき情報について、「見てもよろしいでしょうか」と確認したいときには、“さ入り”の「見させていただく」が役立ちます。

こちらの資料を、

社内の数名にも見させていただいてもよろしいでしょうか

のように、「勝手には見ませんよ」という気遣いを表せるからです。ただし、多用しすぎると重くなるので、「許可」がポイントになる場面にしぼって使うのがおすすめです。

迷ったときは「拝見いたしました」などの言い方にすると安心

“さ入り”か“さなし”かで迷ったときや、先方の好みが分からず不安なときには、「拝見しました」「拝見いたしました」という言い方に切り替えるのも一つの方法です。

  • ご送付いただいた資料、拝見いたしました
  • お送りいただいた画像を拝見し、内容を確認いたしました

のように使えば、相手に敬意を示しつつ、重くなりすぎない表現になります。

迷ったときに使いやすい無難な言い換え表現

“さ入り”そのものに気を取られすぎると、文章づくりが進まなくなってしまうこともあります。ここでは、「見せて」「見させて」にこだわらずに使える、無難な言い換えをいくつかご紹介します。

いちばん丁寧で安心な「拝見します」「拝見いたします」

「拝見します」「拝見いたします」は、自分が何かを見たことを丁寧に伝える表現で、取引先や目上の方にも安心して使えます。

“さ入り”かどうかを気にする必要がなく、

  • 資料を拝見しました
  • お送りいただいた動画を拝見いたしました

のように、すっきりとした文にしやすいのがポイントです。

少しやわらかくしたいときの「確認いたします」

「見る」という言葉を使わず、「確認いたします」と言い換えると、少しやわらかく、事務的すぎない印象にできます。

  • 資料を確認いたします
  • 内容を確認いたしました

といった形で、仕事の報告にも使いやすい表現です。“さ入り”にしなくても、「きちんと中身を見ました」という意味は十分に伝わります。

社内やカジュアルな場面で使いやすい「目を通します」など

社内のやりとりや、少し肩の力を抜きたい場面では、

  • 目を通します
  • 見ておきますね

などの表現も便利です。

また、

  • のちほど資料に目を通します
  • いただいた案を見ておきますね

のように使っても、かしこまりすぎずやわらかい印象になります。

相手との距離感に合わせて、敬語の重さを調整できるようにしておくと安心です。

よくある勘違いと“さ入り敬語”の受け止め方

最後に、“さ入り敬語”がなぜ話題になりやすいのか、よくある勘違いとあわせて整理してみます。「正しい・間違い」の前に、「どういう背景があるのか」を軽く知っておくと、少し見え方が変わってくるかもしれません。

「見させていただく=必ず間違い」というわけではない

まず、「見させていただく」が必ずしも間違いとは言い切れない、という点を押さえておきたいところです。

「違和感をもつ人がいる言い方」と「使ってはいけない誤り」は同じではありません。

もちろん、もっとすっきり言える場面であれば別の表現も選べますが、「さ入りは全部NG」と一括りにしてしまうと、かえって言葉を選びにくくなってしまいます。

ていねいに言おうとして“さ入り”が増えてきた背景

“さ入り敬語”が増えてきた背景には、「相手に失礼のないように話したい」「ぶっきらぼうに聞こえたくない」というまじめな気持ちがあります。

その結果として、「〜させていただきます」「〜させていただいております」といった言い方が広く使われるようになりました。

つまり、“さ入り”の裏側には、相手に失礼のないようにていねいに伝えたいという思いもあるのです。

その一方で、人によっては「重たい」「長い」と感じることもあり、その感じ方の差が、「間違いなのかどうか」をめぐるモヤモヤのもとになっている面もありそうです。

感じ方には個人差があるので、正しさの押しつけは避けたい

敬語や言い回しの感じ方は、本当に人それぞれです。
同じ“さ入り”でも、「ていねいで感じがよい」と受け取る人もいれば、「少し形式ばっているかな」と感じる人もいます。

だからこそ、「自分が違和感をもつから、使う人はみんな間違っているのかも」と決めつけてしまうと、コミュニケーションがぎくしゃくしかねません。

自分なりの基準を持ちながらも、相手や場面に合わせて変えていく姿勢が、いちばん現実的な向き合い方だと言えそうです。

“さ入り”表現Q&A(FAQ)

見せて・見させて+いただく“さ入り”表現Q&A(イメージ)

最後に、“さ入り”表現についてよく出てくる疑問を簡潔にまとめます。

Q. 「見させていただく」は本当に誤用ですか?

A:完全な誤用とまでは言えず、日本語として意味も通じますし、実際によく使われています。ただし、いつでもどこでも使えばよい万能表現ではなく、「許可」がポイントになる場面など、合う場面と合わない場面がある言い方だと考えるとよいでしょう。

Q. 「見せていただく」とのいちばん大きな違いは何ですか?

A:大きな違いは、「動きの主役がどちらか」です。「見せていただく」は相手が見えるようにしてくれた行動に重心があり、「見させていただく」は自分が見せてもらう行動に重心があります。“さ入り”かどうかは、その違いが形に出たものだと考えると整理しやすくなります。

Q. ビジネスメールではどちらを使うのが自然ですか?

A:相手が資料や画面を用意してくれたことにお礼を言いたいときは「見せていただく」、まだ見ていない資料などについて「見てもよいですか」と確認したいときは「見させていただく」も使えます。迷ったときは、「拝見しました」「内容を確認いたしました」といった表現にすると、相手を選ばず使いやすくなります。

Q. 「拝見します」とはどう使い分ければよいですか?

A:「拝見します」「拝見いたします」は、自分が見たことをていねいに伝える表現で、“さ入り”かどうかを気にせず使えます。「見せて」「見させて」のどちらにするか迷うときの受け皿として、「資料を拝見いたしました」「動画を拝見し、内容を確認いたしました」のように使うと、すっきりまとまりやすくなります。

Q. 相手にきつく聞こえない、感じのよい言い方は何ですか?

A:「拝見しました」「確認いたします」「目を通しますね」など、やわらかく落ち着いた表現がおすすめです。“さ入り”の「見させていただく」も場面によってはていねいで感じよく受け取られますが、多用せず、ほかの表現とバランスを取りながら使うと安心です。

まとめ:「さ」入りがダメかどうかより、場面に合うかどうかを考えたい

ここまで見てきたように、「見させていただく」のような“さ入り”の言い方は、ただちに間違いなのでは?と決めつける必要はなく、日本語としても実際のやりとりの中でも使われている表現です。

そのうえで、「見せていただく」との違いを理解して、“さ”そのものというより、「誰が動きの主役なのか」「相手の許可がどれくらい意味を持つ場面なのか」という点を知っておけばこれからの受け止め方が違ってきます。

また、“さ入り”かどうかで迷うときには、「拝見します」「確認いたします」「目を通します」のような、どんな相手にも使いやすい言い方を選ぶこともできます。

「この相手に、この場面で、どう言えば気持ちよく届きそうか」。

そんな視点で“さ入り”のことも見ていくと、自分らしくて心地よいていねいな言い方が、少しずつ見つかっていくのかもしれませんね。

 

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