「引きずる」と「引きづる」正しいのは「ひきずる」なのにネットや日常では「ひきづる」も目にします。
これは、書き方のばらつき(表記ゆれ)や、文化庁が示す現代仮名遣いの考え方、言葉がつながって音がにごる現象(連濁)、入力の予測変換、地域ごとの発音の違いなど、いくつかの要因が重なって起きています。
本記事では「なぜ『ひきづる』が存在して見えるのか」を中心に、背景と注意点、文章での正しい選び方をやさしく解説します。
なお検索でよくある「ひきずる ひきづる どっち?」の疑問にも触れます。
「ひきずる」と「ひきづる」どっちが正しい?
まず結論からおさえておきます。 国語辞典や文化庁の現代仮名遣いでは「引きずる」が正しい表記です。
ただ、ネット上では「引きづる」という表記も見かけることがあり、なぜそうなるのかをこの記事でわかりやすく整理します。
「ひきずる」が正しいとされる根拠
ここでは、辞書・現代仮名遣い・正書法の観点にくわえ、言葉の成り立ち(語源・活用)の二つの面から、「引きずる」が正しい理由をやさしく整理します。根拠を知っておくと、迷ったときに自信をもって選べます。
辞書に載るのは「ひきずる」だけ
多くの国語辞典には「引きずる」だけが見出し語として載っており、「引きづる」は誤りとして扱われます。
学校やビジネス文書、新聞・出版でもこの考え方にそって「引きずる」を使うのが一般的です。

迷ったときは、辞書や表記のルールを確認すると安心ですね。
「引き摺る」と活用の関係
「ひきずる」は漢字では「引き摺る」と書きます。
もとの動詞は「摺る(する)」で、言葉がつながると音がにごるため(連濁)、「す」が「ず」になります。だから、かなで書くと「ひきずる」になるわけです。
漢字とかなをあわせて見ると、なぜこの表記になるのかがわかりやすいのかもしれません。
「ひきずる」は「引きずる」と漢字で書く?
結論から言うと、一般的な文章では「引きずる」または「ひきずる」のどちらも使われます。読者にとって読みやすいことがいちばん大切なので、場面ごとに選び、文章全体では表記をそろえるのがおすすめです。
基本の書き方:「引きずる」と「ひきずる」
本文では「引きずる」と漢字を使うと、意味がはっきりして引き締まって見えます。やわらかい雰囲気やスマホでの読みやすさを優先したいときは、ひらがなの「ひきずる」でも問題ありません。
どちらを選んでも大きな違いはありません。使う場面や読む人に合わせて決め、同じ文書の中では表記をそろえると読みやすくなります。
「引き摺る」は使っていい?
「引き摺る(ひきずる)」と摺る(する)まで漢字を使う書き方は、昔風で少しかしこまった印象になります。
文学的な表現や、原文の表記をそのまま示す引用では使うこともありますが、ふだんの文書や案内では読みやすさを考えて「引きずる」または「ひきずる」にするのが無難です。
場面別のおすすめ
- 章のタイトル・見出し:読み手に伝わりやすいよう「ひきずる」を用いるのがおすすめです。
- 本文(基本):意味がはっきりするよう「引きずる」を用いるのが無難です。
- やわらかな文体にしたい場合:全体を「ひきずる」に統一すると印象がやさしくなります。
- 文学・歴史資料の引用:原文が「引き摺る」なら、そのままの表記を示し、必要なら(現代仮名遣いでは「引きずる」)と注を添えます。
- 共通の注意:同じ文書の中では、表記を一つに統一すると読みやすくなります。
「ひきづる」は間違い?それとも存在?
表記ゆれや誤記、予測変換の影響で「ひきづる」が“存在して見える”事情を整理します。
表記揺れの意味を分かりやすく解説
表記揺れ(ひょうきゆれ)とは、同じ意味の言葉なのに、書き方がいくつかに分かれてしまうことです。誤字とは限らず、書き手の好みや場面、ルールの違いで起こります。
たとえば:
- 漢字/かなの違い:「引きずる」と「ひきずる」
- 外来語の表し方:「ウェブ」「Web」「WEB」
- 漢字とかなの選び方:「できる」と「出来る」
- 数字の書き方:「1」「一」「①」
表記揺れそのものは間違いではありませんが、同じ文書の中で混在すると読みにくくなるので、どれか一つに統一するのが基本です。
誤記だがネットでは使われる
SNSや日常では、変換のくせや思い込み、急いで入力したことなどから「ひきづる」と書かれてしまうことがあります。
また、検索ではいろいろな書き方が並ぶため、「どちらも使われるのかな」と感じることもありますが、表記の基準では誤りとされています。
歴史的仮名遣いやリズムの影響
昔の表記(歴史的仮名遣い)では、今より「づ」を使う場面が多く、作品によっては語感やリズムを重んじて「ひきづる」と書くこともありました。
こうした歴史や表現上の事情があるため、今でも目にすることはありますが、ふだんの文書では「引きずる」に統一するのが基本です。
「ひきづる」と書かれる実例
どんなときに「引きづる」と書き間違いが起こりやすいのかを知っておくと、ミスを防ぎやすくなります。
SNSやインターネット記事での使用例
SNSやインターネット記事などの実例から、変換ミスや地域差がどのように表記ゆれを生むかを見ていきます。
日常の投稿は、見直しや校正をしないまま公開されることがよくあります。さらに、いちど目にした書き方が正しいと思い込んでそのまま使ってしまうこともあります。
こうした積み重ねで、「引きずる」「引きづる」両方の表記が並ぶことがあり、目にする機会が多いと「どちらも使われるのかな」と感じてしまうことがあるのです。
変換ミスや地域差が要因
日本語入力の学習や予測変換の影響で、「づ」が候補に出やすくなることがあったり、多くの地域では「ず」と「づ」の発音差がほとんどないため、耳で覚えた感覚のまま書くと取り違えやすくなります。
音では違いがわかりにくいぶん、文字にするときだけ意識して確認すると安心です。
なぜ「ず」と「づ」を混同するのか
混同が起きやすいのには、地域によって「ず/づ」の発音の違いが小さいこと(同じに聞こえること)と、昔の仮名遣いの名残が重なって、書き間違いが起こりやすくなります。ここでは代表的な理由を整理します。
発音の区別が曖昧な地域差
現代の日本語では、多くの地域で「ず」と「づ」がほとんど同じ音に聞こえますが会話では問題になりにくいため、違いを意識する機会が少なく、そのまま文字にすると混同しがちです。
文章にするときは、ひと呼吸おいて辞書や表記のルールを確認すると安心です。
「つづく」と「つずく」の誤記
「つづく」を「つずく」と書いてしまうミスは、じつはめずらしくありません。
音が似ているために起こる点で、「ひきずる/ひきづる」と同じ現象なのです。
正しい形を何度も目にして慣れること、迷ったときに辞書で確認することが、書き間違いを防ぐいちばん確実な方法です。
昔の日本語では「づ」が多かった
昔の表記(歴史的仮名遣い)では、今より「づ」を使う場面が多くありました。歴史的仮名遣いと現代仮名遣いの違いを、文化庁の考え方もふまえて短く確認します。
歴史的仮名遣いとの違い
昔の表記(昭和21年ごろまで)は、今とは「ず」と「づ」の扱い方が違っていたので、古い文章では「づ」がよく出てきます。
古い資料を読むときは、その時代の決まりに合わせて理解するとわかりやすいです。
現代は「ず」に統一された理由
戦後に定められた「現代仮名遣い」では、実際の発音や学びやすさを考えて表記が整理され、多くの語で「ず」が基本になりました。
とはいえ、言葉の成り立ちの関係で「つづく」のように「づ」を残す語もあるので迷ったときは、今の基準にそって一語ずつ辞書で確かめるのがいちばん確実です。
他にもある!混同しやすい言葉
「ず」と「づ」の取り違えは、ほかの言葉でも起きやすいものです。よくある例を知っておくと、書き間違いを減らせます。
続くの正解は「つづく」
正しいのは「つづく」です。「つずく」と書いてしまうのは、音の印象をそのまま文字にしてしまうために起こりやすいミスです。
「つづける」「続き」なども同じく「づ」を使うので、いっしょに覚えておくと定着しやすくなります。
「つづみ」と「つずみ」
和楽器の「鼓(つづみ)」も、「つずみ」と書き間違えやすい言葉です。
正しくは「づ」を使う点は「つづく」と同じです。漢字の「鼓」とセットで覚える、正しい表記に触れる回数をふやす、などの工夫をすると定着しやすくなります。
文章ではどう使うべき?
ビジネス文書/公的文書では現代仮名遣いに沿って「ひきずる」に統一し、校正の観点でも整えます。ここでは、実際に使うときの分け方のポイントをやさしく整理します。
フォーマルでは「ひきずる」
履歴書や報告書、案内文などのかしこまった文章では「ひきずる」を使うのが安心です。
タイトルや見出しはひらがなにして、本文では必要に応じて「引きずる」と漢字を使うと、読みやすさと信頼感の両方が高まります。
意味は通じるが正表記を徹底
「ひきづる」と書かれていても意味は伝わることが多い一方で、読む人によっては誤字と受け取られ、文章全体の印象が下がることがあります。
自分で書くときは「ひきずる」にそろえ、引用に誤表記が含まれる場合は原文のまま示し、必要に応じて注を添えると親切です。
よくある質問(FAQ)

この記事でよくある疑問をまとめました。迷ったときの目安としてお使いください。
「ひきづる」は辞書に載っていますか?
いいえ。主要な国語辞典と現代仮名遣いでは「ひきずる」だけが採用され、「ひきづる」は誤表記として扱われます。
「ひきづる」と書いても相手に伝わりますか?
意味は通じることが多いですが、誤字と見なされる可能性があります。フォーマルな文章では「ひきずる」を使うのが安心です。
昔の文章には「ひきづる」が出てきますか?
歴史的仮名遣いの影響で「づ」を用いた例が見られることがあります。現代の一般的な文章では「ひきずる」に統一します。
日常会話では「ひきづる」と発音してもいいの?
多くの地域で「ず」と「づ」の発音差が小さいため、会話では区別が曖昧になりがちです。文字にするときは「ひきずる」を選びましょう。
「ず」と「づ」の区別がなくなったのはなぜ?
戦後に整備された現代仮名遣いで表記が整理され、学習しやすさと実際の発音に合わせて「ず」を基本とする形に統一されたためです。
まとめ|正しいのは「ひきずる」でも「ひきづる」を目にする理由
正しい表記は「ひきずる」です。一方で「ひきづる」が“存在して見える”のは、変換のミスや発音の影響、昔の表記や言葉のリズムといった背景があるためです。
公的な文書や人に見せる文章では「ひきずる」にそろえると安心ですし、迷ったときは辞書や現在の仮名遣いを確かめましょう。
正解と背景を知っておくと、読み手にやさしい書き方ができます。