3.5㎡(平方メートル)と聞いても、実際にどのくらいの広さなのかイメージしにくいですよね。
ニュースや避難所の基準などで「1人あたり3.5㎡」という数字を耳にすることがありますが、数字だけでは体感につながりません。
畳や布団、自転車やテントといった身近な例に置き換えると、3.5㎡が「人が横になり、荷物を少し置ける程度の最小限の空間」であることが見えてきます。
本記事では、3.5㎡の広さをいろいろな物差しで比較し、暮らしや避難所のイメージに役立つように解説していきます。
3.5㎡ってどのくらい?
ニュースや日常の話題で「1人あたり3.5㎡」という面積を目にすることがあります。数字だけでは広さの実感がわきにくいので、まずは長さに直して考えたり、形を決めてイメージしたりして、感覚に落とし込んでいきましょう。
3.5㎡を数字で見ると?
3.5㎡は「3.5平方メートル」のことです。
1㎡は1m×1mの正方形なので、3.5㎡を正方形にすると一辺はおよそ1.87m(√3.5≒1.87)です。メジャーで1.87mを縦横に測り、床に養生テープで四角を作ってみると、立つ・座る・寝転ぶといった動作のしやすさが一気に具体的になります。
畳に換算すると、一般的な畳1枚を約1.62㎡とした場合で約2.16畳、つまり「畳2枚より少し広い」感覚です。

数字→長さ→畳という順で変換すると、頭の中で空間が描きやすくなります。
正方形と長方形のサイズ
同じ3.5㎡でも、正方形か長方形かで体感は変わります。
正方形なら約1.87m×1.87m、長方形なら例として1.7m×2.06m、1.6m×2.19m、1.5m×2.33mなどの組み合わせが考えられます。
正方形に近いほど動線を回しやすく、寝具と荷物の配置に自由度が出る一方で、細長い長方形は通路を取りやすい反面、向きを変える動作が窮屈になりやすいなど、同じ面積でも使い勝手に差が生じます。
畳でイメージする3.5㎡の広さ

日本の生活に馴染みのある畳は、広さを直感的にとらえるのに役立ちます。畳1枚はおよそ1.62㎡なので、ここでは「畳2枚」を基準に、3.5㎡の感覚をつかんでいきます。
畳2枚より少し広い
畳1枚を約1.62㎡とすると2枚で約3.24㎡。3.5㎡はそこに約0.26㎡(30cm四方弱)の余白が足された広さです。
この余白が小さく見えても効果は大きく、荷物の置き場を確保したり、布団の端を少しずらしたり、出入りの“逃げ”を作ったりできます。畳2枚だけのときに感じる窮屈さが、わずかに解消されるイメージです。
6畳の部屋と比べると?
6畳の部屋は目安で9.7~10.9㎡ほどです。
3.5㎡はその約3分の1で、6畳の部屋の一角を区切った程度の広さと考えるとイメージしやすいでしょう。人と人との距離は近くなりやすく、通路や荷物置き場の取り方が快適さを左右します。限られた範囲でも、配置と動線の工夫で体感は大きく変えられます。
布団でイメージする3.5㎡の広さ

「寝る」動作を基準に考えると、必要な面積がより明確になります。布団サイズを使って、どこまで置けるか、どれくらい動けるかを見ていきましょう。
布団2枚を並べるとどうなる?
シングル布団はおよそ100cm×210cm(約2.1㎡)で完全に2枚を並べると約4.2㎡で3.5㎡を上回ります。
幅の狭い布団を選ぶ、L字にずらす、部分的に重ねる、縦横を入れ替えるなどの工夫で近づけることはできますが、基本的には大人2人が余裕を持って横になる広さではありません。

二人で一時的に横になることはできても、長時間はかなり窮屈に感じるくらいの感覚です。
布団1枚+余裕のスペース
1人を前提にすると、シングル布団1枚(約2.1㎡)を敷いても約1.4㎡の余白が残るので、この余白に小さな荷物や衣類、ライト、飲み物、折りたたみのマットなどを置けます。
正方形に近い区画なら布団の周囲に30~40cm幅の通路を回せるため、寝起きや姿勢変更がスムーズです。細長い形の場合は、布団の向きを変えて直線の通路を確保するのが使いやすさのコツです。
畳や布団以外で例える3.5㎡

アウトドア用品や家の家具、学校や街でよく見るものに置き換えると、3.5㎡の“密度”がさらに具体的になります。自分の生活に近い物差しで考えてみましょう。
小型テントの広さ
2~3人用の小型テントの床面積は概ね3~4㎡台で、3.5㎡はそのど真ん中です。
寝袋と必需品を置けばいっぱいで、姿勢を大きく変えたり荷物を広げたりするには工夫が必要。天井の高さや出入口の位置で体感が変わる点は、屋内のレイアウトにも通じます。
自転車2台分のスペース
一般的な自転車は長さ約1.8~1.9m×幅約0.6mで、1台あたり1㎡強を占有します。
2台に乗り降りの余白を加えると、全体でちょうど3.5㎡前後になります。「駐輪場で自転車が2台並び、横を人が通れる」景色を思い浮かべると、3.5㎡の密度感がつかめます。
学校の机2セット分
机と椅子の設置面だけならコンパクトでも、立ち座り・通行の動線を含めると1人あたり1~1.5㎡程度が必要です。
2人分で2.5~3.0㎡、余白を持たせると3.5㎡前後が「無理なく動ける最小の枠」。机2つと椅子2脚がぎゅっと収まり、人がなんとか出入りできる範囲です。
ユニットバスに近い広さ
コンパクトなユニットバスは床面1.4~1.9㎡ほど。
ここに脱衣の立ち位置や出入りの余白を加えると体感は2.5~3.5㎡に。浴室と脱衣が一体になった狭さを思い出すと、3.5㎡でできることと難しいことの境目がイメージできます。
軽自動車の車内スペース
軽自動車の中は座席や収納などでデコボコしていて、完全な平らな床ではありませんが、足元や座席の間の通路を合わせると数㎡ほどの広さになります。
3.5㎡は「人が座り、足元に荷物も置ける最小限の空間」に近く、人と荷物が共存するときの余裕の少なさをイメージできます。
ダイニングテーブルを置いた範囲
天板140cm×80cm程度の4人掛けテーブル自体は約1.1㎡ですが、イスを引く・立ち座りする余白まで含めると2.5~3.5㎡ほどを占有します。
3.5㎡は「4人掛けをぎゅっと収めて、人がかろうじて出入りできる」くらいの範囲だと考えると、密度の高さがわかります。
他の広さと比べるとわかりやすい
相対的に比べることで、面積の大きさはぐっと理解しやすくなります。1㎡や畳1枚といった小さな単位から、10㎡や20㎡といった大きな単位へと階段をのぼるように順番に見ていくと、3.5㎡が全体の中でどんな位置にあるのかがはっきりします。普段の生活で使う部屋の広さや家具のスペースと照らし合わせながら読むと、数字だけではわかりにくい3.5㎡の感覚がつかみやすくなるでしょう。
1㎡や1畳との違い
1㎡は1m×1mの正方形で、足元のワンステップに近い広さです。畳1枚はおよそ1.62㎡で、座る・横になる基準として身近です。
3.5㎡は1㎡の3.5倍、畳の約2.16枚分にあたり、体の向きを変える、荷物を置く、簡単に座り直すといった動作が「ぎりぎり可能」な段階に入ります。逆に、作業と休息を同時に行うには工夫が必要なサイズでもあります。
10㎡や20㎡との違い
10㎡は一辺が約3.1mの広さで、ベッドや机を置いても通路に余裕があります。20㎡になるとワンルームのように生活でき、家具の配置にも幅が出ます。
これに比べると3.5㎡は「最低限とどまれる広さ」で、布団と少しの荷物でほぼ埋まってしまいます。広さ自体は変えられませんが、形や置き方を工夫すれば体感を改善できます。
3.5㎡に家具を置いたらどうなる?
3.5㎡に物を置くと体感が一気に変わります。よくある組み合わせで「どこまで置けるか」「どんな動線が残るか」を具体的に確認しましょう。
布団+荷物を置いた場合
シングル布団1枚(約2.1㎡)を敷くと、残りのスペースはおよそ1.4㎡しかなく、そこに収納ケースやバッグをそのまま置くと通路がふさがれ、動きにくくなってしまいます。
壁際に荷物を寄せたり、縦に積み重ねたりして床の面積をできるだけ残すことが大切です。布団の向きを工夫して通路側に余裕を持たせれば、立ち上がるときや出入りのときもスムーズになり、限られた空間でも快適さが保てます。
テーブルやイスを置いた場合
3.5㎡の中に小さなテーブルやイスを置くと、作業はできてもスペースはすぐに狭く感じられます。
特に布団と同時に置くと窮屈になるため、昼は布団を畳んでテーブルを広げ、夜はテーブルを片付けて布団を敷くといった「時間で空間を使い分ける工夫」が必要です。
収納も床に広げるのではなく、縦に積んだり壁際に寄せたりすると動線が確保できます。家具は折りたたみ式や軽量タイプを選ぶと、狭い空間でも快適に使いやすくなります。
実際に3.5㎡で暮らすとどう感じる?
同じ3.5㎡でも、形や置き方、周囲の状況によって感じ方は変わります。「なぜ狭く感じるのか」「それでも生活できるのはなぜか」を整理してみましょう。
狭いと感じる場面
荷物が床に散らばって通路がふさがれる、区画が細長くて体の向きを変えにくい、出入口に物が重なってしまう——こうした状況では面積以上に狭く感じます。
さらに、光が入りにくく窓も少ない環境や、視線の抜けがない間取りも圧迫感を強める要因になります。まずは通路を優先的に確保し、動きの妨げにならない場所へ荷物をまとめることが快適に過ごすコツです。
最低限生活できる理由
3.5㎡でも、布団を敷いて荷物をまとめれば、寝る・着替える・身の回りの動作をするくらいは可能です。
収納を縦に積む、折りたたみ家具を使う、通路を少し残すといった工夫をすれば、狭いながらも必要最低限の生活は送れます。

同じ広さでも、置き方や使い方を工夫することで、体感の快適さは意外と大きく変わってきます。
3.5㎡が避難所で使われる理由

「なぜ1人あたり3.5㎡なのか」を知っておくと、この数字が“最低限の目安”であることが理解しやすくなります。ここでは背景となる考え方をかんたんに確認します。
国際スフィア基準
国際的な人道支援の現場では「スフィア基準」というガイドラインが参考にされることがあり、その中で1人が生活するスペースの目安としておよそ3.5㎡が示されています。
ここでいう面積は、調理やトイレといった共用部分を含まない「寝る・着替える・身支度をする」といった基本的な動作を行うための広さを想定したものなので、快適さを保証するものではなく、あくまで国際的な目安のひとつとして位置づけられています。
日本の自治体での採用
日本でも一部の自治体では、この3.5㎡という数値を参考にしながら避難所のスペースを検討することがありますが、実際の運用は会場の広さや形、通路や安全面の確保などによって調整されるため、すべてが一律というわけではありません。あくまで「1つの目安」として扱われており、状況に応じて柔軟に工夫されているのが特徴です。
3.5㎡の広さを体験する方法
数字を体験へ変えると、理解が一気に深まります。自宅で安全に試せるシンプルな方法を2つ紹介します。
床に枠を作ってみる
3.5㎡を実際に体感するには、床に目安となる枠を作ってみるのがおすすめです。
例えば1.87m×1.87mの正方形をメジャーで測り、養生テープなどで床に印をつければ、ちょうど3.5㎡の広さが再現できます。その中で立ったり座ったり、布団を敷いてみたり、荷物を置いたりすると、数字だけではわからなかった窮屈さや余裕の感覚がつかめます。
家具を入れて通路が残るかどうかを確認すると、実際に生活した場合のイメージがより具体的になります。
布団やマットを並べてみる
もう一つの体感方法は、実際に布団やマットを床に並べてみることです。
シングル布団を1枚敷けば約2㎡なので、3.5㎡の枠の中では残りのスペースがどのくらいあるかがすぐにわかります。布団を縦横に置き替えたり、マットをL字型に配置したりすると、動線の取りやすさや荷物を置ける余裕の違いも実感できます。
昼間は布団を畳んで立てかけ、夜は再び敷くといった「時間で空間を使い分ける工夫」を試してみるのもおすすめです。限られた面積でも置き方や使い方を工夫すれば、体感の快適さが大きく変わることがわかります。
まとめ:3.5㎡は最低限の生活スペース
3.5㎡は
- 畳なら2枚より少し広い
- 布団なら1枚+小物の余白が取れる
- テントや自転車2台
- 4人掛けダイニング一式
に近い“最小限の空間”です。
正方形に近い形を選ぶ、通路を先に決める、収納は縦に積む、折りたたみで運用する、といった基本の工夫で、限られた面積でも使いやすさは大きく変えられます。
数字だけでなく身近な物差しで考えておくと、いざという時にも広さを冷静にイメージしやすくなりますね。