「なおる」は「治る」と「直る」のどちらを書くかで迷いがちです。
本記事では、この使い分けを結論から示し、意味の違い、迷いやすい場面の正解、関連する「治す/直す」の違い、言い換えのコツ、仕事や学校ですぐ使える文例まで、わかりやすく整理しました。
結論:体は「治る」、物やミスは「直る」
最初に結論です。
- 体や心の不調が元気になるときは「治る」
- 壊れた物や誤り、よくない態度などが正しく元に戻るときは「直る」
を使います。
迷ったら「対象は体か物か」で考えるとすぐ判断できます。
「治る」の意味と使い方
ここでは「治る」が指す範囲と、日常での自然な使い方をまとめます。体や心、症状に関する話なら基本的に「治る」です。
何が治る?(体・心・症状の回復)
「治る」は、風邪、発熱、腹痛、頭痛、のどの痛み、咳、鼻水、胃もたれ、食あたり、けが、打ち身、ねんざ、骨折、炎症、アレルギー症状、不眠、だるさ、気持ちの落ち込みなど、体や心に関する不具合が良くなるときに使います。
病院に通って良くなる場合も、安静にして自然に良くなる場合も、どちらでも使えます。「症状がなくなって普段の状態に戻る」「生活に支障がなくなる」といったイメージです。人に向けて使う表現なので、物や機械には基本的に使いません。
例文(日常・ビジネス)
- けがが治るまで無理をしないでください。
- 頭痛が治らないので、午後は在宅に切り替えます。
- 痛めていた腰は、もうすっかり治りました。
- 花粉症が治るわけではないので、予防を続けます。
- 早く治して週末の予定に間に合わせたいです。
「治る・治す」使うときのコツ
迷ったら“回復”で考える
「治る」は生きものの回復を表す言葉だと覚えると迷いにくくなります。体調や症状、心の状態が良い方向に向かうときに自然です。「治る」は結果、「快方に向かう」は途中の変化という違いも意識すると表現の幅が広がります。

「治す」は能動的に良くする意味なので、「医師が治す」「薬で治す」のように主語の動きがある場面でも使います。
「直る」の意味と使い方
ここでは「直る」を説明します。物や誤り、態度などが「正しい状態」「元の状態」に戻るという意味で使うので「体の話では基本使わない」と覚えておくと大丈夫です。
何が直る?(物・誤り・態度が元どおり)
「直る」は、家電、スマホ、パソコン、プリンター、車、ドア、時計、照明、エアコン、ネット回線、アプリの不具合など、物や機械の故障が使えるようになるときに使います。
文章の誤字脱字、書類のミス、数字の食い違い、配置や体裁の乱れなどが正しい状態に戻るときにも使います。

口ぐせ、言い方、態度、習慣、人間関係など、望ましくない状態が良い状態に改まる場合にも自然です。
例文(日常・ビジネス)
- ネットの不具合が直ったので、会議に参加できます。
- 誤字はすべて直して再送しました。
- ドアのきしみが直るように調整しました。
- 言い方がきつい点は意識して直します。
- アプリのバグは最新版で直る予定です。
「直る・直す」使うときのコツ
“正しくなる・元に戻る”で判断
「直る」は“正しくなる、元に戻る”かどうかで判断します。
物や仕組み、数字、文章、態度のように、正しい基準や本来の状態があるものには相性がよい言葉です。
体調の回復には通常は使わないので、「体調が直る」「風邪が直る」は不自然になります。迷ったら「修理」「訂正」「改善」という言い換えに置き換えられるかを考えると、ほぼ確実に「直る」だとわかります。
迷いやすいケースの正解
よく迷う場面をまとめました。判断の軸は「体や症状の回復か」「物や誤りの復旧・訂正か」です。
虫歯・肩こり・花粉症 → 基本は「治る」
体や症状の話なので「治る」を使います。
虫歯は放置して自然に良くなることは少ないため、治療が必要という現実的な注記も添えられます。
「肩こりが治る」「花粉症が治る」は自然ですが、花粉症のように完全に消えるとは限らない症状は「少し治る」「症状が治まる」のように言い換えると伝わりやすくなります。
いずれにしても体の不調は「治る」を選ぶのが基本です。
クセ・態度・発音・人間関係 → 一般に「直る」
望ましくない状態が正される場面なので「直る」が自然です。「悪いクセが直る」「言い方のきつさが直る」「発音が直る」「仲直りする」のように使います。
人の内面に関わることでも、狙いが“正しくする”ことであれば「直る」で問題ありません。「癖が治る」という言い方も見かけますが、広く通じるのは「直る」です。
PC・スマホ・家電・書類のミス → 「直る/直す」
機械の故障や書類の誤りは「直る/直す」を使います。
「スマホが直る」「書類のミスが直る」「表の数字を直す」「設定を直す」のように表せます。
どこが原因かはっきりしないときは「不具合が直った」「調整して直した」といった言い方にすると、状況をやわらかく伝えられます。
「治す」と「直す」の違い(能動形でセット理解)
自分や誰かが行動して良い状態にする場合は「治す」と「直す」を使い分けます。体に関することは「治す」、物や誤りに関することは「直す」です。
「治す」=病気や症状を回復させる
「風邪を治す」「けがを治す」「痛みを治す」のように、体や心の不調をよくすることを表します。
医師や薬、休養、リハビリなど、回復に向けた行動が主語になります。自分で気をつけて生活を整えることも「治す」に含められます。「早く治すために休む」「通院して治す」といった言い回しも自然です。
「直す」=壊れた物や誤りを正す
「パソコンを直す」「時計を直す」「誤字を直す」「言い方を直す」のように、物の修理や文章の訂正、ふるまいの改善を表します。専門の人が作業する場合にも、自分で見直して正す場合にも使えます。
「どこを直したか」「どんなふうに直したか」を続けると、相手に伝わりやすくなります。
言い換えリスト(迷ったら安全な表現)
どちらの漢字か悩むときは、言い換えで安全に伝える方法もあります。場面に合わせて選べる言葉を用意しておくと安心です。
体の話:回復する/快方に向かう/症状が落ち着く
- 体調が回復する
- 快方に向かう
- 症状が落ち着く
- 体の調子が戻る
- 無理なく動けるようになる
などの言い換えが使えます。
仕事の連絡では「体調が回復次第」「症状が落ち着きました」のように、具体的で丁寧な表現が好まれます。聞き手に心配をかけない伝え方を心がけると、印象が良くなります。
物・誤りの話:修理する/復旧する/訂正する/修正する
機械や仕組みには
- 修理する
- 復旧する
- 設定を見直す
- 原因を取り除く
- 再起動で解消する
といった言い方が使えます。
文章や資料には訂正する、修正する、見直す、差し替えるが自然です。「いつ」「どの部分」を明かすと相手が行動しやすくなります。
治す・治す:そのまま使える文例
仕事や学校、家庭でもすぐに使える短い文例です。必要に応じて名前や日時を入れて使ってください。
お見舞い・体調の連絡
- このたびはご心配をおかけしました。体調が治り次第、改めてご連絡いたします。
- どうか一日も早く治りますように。焦らずゆっくり休んでください。
- 熱は治ってきましたが、念のため本日は在宅で対応します。
- 症状が治まったら、診断書を添えて復帰いたします。
訂正・修理の連絡
- 資料の誤字を直しました。最新版を共有フォルダに置きました。
- 印刷ずれは設定を直して解消しました。
- 次回の手順書も直しています。
- 端末は部品交換で直りました。同じ不具合が出ないように点検を続けます。
- フォームの送信エラーは直りました。再度お試しください。
FAQ(よくある質問)

よくある疑問に短く答えます。迷ったときは「体は治る、物とミスは直る」を思い出してください。
Q.「風邪が直る」は間違い?
体調の回復なので「風邪が治る」が自然です。「直る」は物や誤りに使うのが基本です。相手に失礼ということはありませんが、日本語としては「治る」を選ぶほうが伝わりやすいです。
Q.「パソコンが治る」はおかしい?
物や機械は「直る」を使います。「パソコンが直る」「修理して直った」のように言うと違和感がありません。「治る」は体の回復に使います。
Q.「肩こりがなおる」はどっち?
体の不調なので「肩こりが治る」です。完全に消えるわけではないと伝えたいときは「楽になる」「症状が治まる」と言い換えると適切に伝わります。
Q.「仲がなおる」はどっち?
関係が元通りになるという意味なので「直る」の仲間です。「仲直りする」「関係が直る」と表すと自然です。「治る」は使いません。
Q.「誤字がなおる」はどっち?
誤りが正しくなる話なので「直る」です。「誤字を直す」「表記を直す」「表を直す」のように、誰が何をどう直したかを合わせて伝えると親切です。
まとめ:対象で選べば迷わない
最後に要点をひとつにまとめます。
判断の軸は「今の話の対象が体(症状・心)か、物や誤りか」です。
体や症状の回復なら「治る」、壊れた物や数字・文章のミス、態度や習慣の改善なら「直る」。能動形は「治す/直す」のセットで覚えるとさらに確実です。
迷ったら言い換えで確認しましょう——体なら「回復する・快方に向かう」、物や誤りなら「修理する・復旧する・訂正する」。
この基準さえ持っていれば、メールでも会話でも自然で伝わりやすい表現が選べます。明日からは“対象で選ぶ”だけ。もう「なおる」の漢字で悩む必要はありませんね。