「よい」と「いい」、さらに「良い」と「善い」。どれを選ぶか迷うのは自然なことです。
この記事では意味の違いや語感の違い、そして公用文での統一基準を場面別の例文と早見表で迷わず選べる手順でまとめます。
「よい」の使い方
「よい」は書き言葉寄りの落ち着いた印象があります。活用や言い回しのクセを押さえるとビジネスや公的な場面でも迷いません。
活用と形(よく/よかった/よさ)
「よい」は使う場面で形が変わります。
状態を説明するときは「よく」(例:準備がよく整う)、過去をふり返るときは「よかった」(例:会議はよかった)、性質を名詞にするときは「よさ」(例:提案のよさが伝わる)。
この3つを意識するだけで、言い換えがぐっと楽になります。
語感の特徴(やや硬めで丁寧)
「よい」は落ち着いた丁寧さがあり、相手に配慮した印象を与えます。依頼や報告で使うときは、言い切りを避けて「〜でよいと思います」のようにすると、穏やかで読みやすい文になります。
定型的な言い回し
判断や許可を静かに伝えるなら
- 差し支えなければ〜でよいでしょうか
- 〜でよいと考えます
- 〜でよいと判断します
などが使いやすいです。強すぎず、断定もしすぎないので幅広い場面で安心です。
「よい」と「いい」の使い分け
ここでは語感の違いと場面別の選び分けを示します。迷ったら“文書はよい、会話はいい”を起点にしてから細かく調整します。
語感の違い(よい=書き言葉/いい=話し言葉)
- 「いい」は親しみがありテンポよく伝わります。
- 「よい」は静かで整った印象です。
感想をすばやく言うなら「いい」、文章で評価を述べるなら「よい」と覚えると判断が早くなります。
場面別の目安
ビジネス文書・報告・レポート・公的案内は「よい」を基本にすると統一しやすいです。
雑談・SNS・会話文・広告コピーでは「いい」が自然です。
作文は指導に合わせつつ、迷うときは「よい」に寄せると安全です。
「いいです」の多義性に注意
「いいです」は承諾にも辞退にも読めます。
誤解を避けたいときは、承諾なら「問題ありません/承知しました」、不要なら「不要です/今回は結構です」など、意味がひとつに決まる言い方にしましょう。
迷ったらの指針
同じ文や同じページで「よい」と「いい」を混ぜないのがコツです。文書は「よい」に統一し、会話の引用や見出しだけ「いい」を使うと、読みやすさと自然さのバランスがとれます。
公用文での使い方
公用文やそれに準じた案内文では、読みやすさ・統一性が最優先です。多くの機関・団体で「いい」を「よい」に統一する運用が採られます。
「良い」と「善い」の使い方
ここでは同じ読みでも意味が違う漢字の使い分けを整理します。
まずは「何が良いのか/何が善いのか」を言い換えて確かめるのが近道です。
意味のちがい(核)
良い
「良い」は品質や状態、結果が望ましいという意味です(例:良い成績、良い条件)。
善い
「善い」は道徳や心がけに関わる正しさを表します(例:善い行い、善意)。

ものの良し悪しか、人の行いかで見分けると迷いにくいです。
入れ替え判定のコツ
入れ替えて違和感がないかを試します。
「良い結果」を「善い結果」と言うと価値判断が強くなり不自然に見えます。逆に「善い行い」を「良い行い」とすると、道徳性が弱まり印象がずれます。不自然なら元の漢字が合っています。
ひらがなで逃げる判断
迷うときは無理に漢字にせず「よい」で統一して問題ありません。読みやすさが増し、見た目のばらつきも避けられます。規程やお知らせなど、多くの人が読む文章ほど効果的です。
基本原則(統一)
表記が混ざると読み手は小さくつまずきます。
- 文書は“よい”で統一
- 漢字は必要な箇所だけ
の2点を決めておくと、誰が書いても揃った見え方になります。
迷いの解消フロー
- 意味で判断(品質・状態なら良い/道徳・行いなら善い)
- 判断しづらければ「よい」に戻す
- 同じ文書内の基準がそろっているか確認
この順で決めると短時間で整います。
校正チェックの要点
確認するのは三つです。
- 「よい/いい」の混在はないか。
- 漢字とひらがなが行ごとにばらついていないか。
- 同じ種類の表現で基準が変わっていないか。
どれか一方にまとめるだけで読みやすさが上がります。
迷ったときに役立つ早見表
ここだけ読めば“とりあえずの正解”が選べます。あとで細部を直すときの出発点にしてください。
「よい/いい」場面別おすすめ
- ビジネス文書・報告・レポート:よい(統一しやすく丁寧)
- 公用文・規程・案内:よい(表記基準に合わせる)
- 校内配布・保護者文書:よい(混在回避)
- 広告コピー・会話・SNS:いい(自然で親しみ)
- 作文・論述:よい(指導方針に合わせやすい)
「良い/善い」置き換え可否の目安
- 良い成績/良い結果/良い条件=品質・状態→良い
- 善い行い/善い影響/善意=倫理・道徳→善い
迷う場合はいったん「よい」に戻し、必要な箇所だけ後から漢字に直すと作業がスムーズです。
シーン別の例文集
そのまま差し替えられる例文です。自分の文書のトーンに合わせて言い回しを選んでください。
ビジネスメール(依頼・承認)
- ご提案の進め方は、A案で“よい”でしょうか。
- 資料の共有は、来週月曜で“よい”と判断します。
- 当日の服装は“自由でよい”です(スーツ不要)。
公用文・案内文
- 提出方法は郵送または窓口持参のいずれでも“よい”。
- 問い合わせは担当課で“よい”対応を行う。
- 期日の延長は“やむを得ない場合のみ”認めるのが“よい”。
レポート・論文
- 方法Aはコスト面で“よい”が、再現性に課題が残る。
- この条件が成立するなら採用して“よい”。
- 参考文献は最新の版を用いるのが“よい”。
会話・SNS(カジュアル)
- それで“いい”よ。
- この席“いい”ですね。
- この色なら“いい”感じ。
よくある質問(FAQ)

最も迷いが多いポイントだけを、短くはっきり答えます。詳細は該当セクションへ戻って確認してください。
Q.「いいです」はビジネスで失礼?
文脈によって承諾にも辞退にも読めます。誤解を避けたいときは、承諾は「問題ありません/承知しました」、辞退は「不要です/今回は結構です」と言い換えると安全です。
Q.学校の作文はどっち?
学校や先生の方針で違いがあります。迷うときは「よい」に統一して提出し、指示があれば次回から合わせるのがスムーズです。
Q.社内で基準を作るには?
「文書は“よい”で統一」「会話の引用だけ“いい”可」「漢字は必要箇所のみ」という簡単なルールを一枚にまとめて共有すると、校正の手間が減ります。
Q.タイトルや見出しで読みやすいのは?
改まった印象を出したいなら「よい」、親しみを出したいなら「いい」。サイトや資料全体の雰囲気に合わせてどちらかにそろえるとまとまります。
Q.混在を見つけたら?
同じページ内でどちらかに統一します。判断がつかない箇所はいったん「よい」に戻し、必要なら後から漢字を部分的に使えば十分です。
まとめ|「よい」「いい」を迷わず選ぶ3つの軸で統一する
判断の軸は
- 意味の違い=「良い/善い」
- 語感の違い=「よい/いい」
- 文書全体の統一
の3つです。
品質・結果・状態なら「良い」、道徳・行いなら「善い」。文書は基本「よい」でそろえ、会話やSNSは「いい」を選ぶと読み手にやさしくなります。
迷う箇所は無理に漢字にせず「よい」に戻す、同じページで混在させない——この最小ルールだけで、多くの迷いは解消できます。
仕上げに、早見表で場面別の目安を確認し、例文集から自分のトーンに合う言い回しを選べば、どの媒体でも自然で伝わりやすい表現に統一できます。