「売り上げ」「売上げ」「売上」──どれも同じ「うりあげ」ですが、「どれが正しいんだろう」と思ったことはありませんか。
この記事では、「売り上げ」「売上げ」「売上」という3つの書き方の違いや、ビジネスでよく選ばれている形、公的な文書での考え方などを整理していきます。
こうした「売り上げ/売上げ/売上」の違いは、いわゆる「表記ゆれ(表記揺れ)」の一つです。「どの形が正しいか」だけでなく、「どれにそろえるか」で迷いやすい言葉でもあります。
結論:「売上」と「売り上げ」の基本ルールを先に決めておく
どれか一つだけが絶対に正しいわけではなく、「この場面ではこの書き方」とあらかじめ決めておくことで、毎回迷わずにすみますし、文章全体の見た目もそろいやすくなります。
ここからは、「ふだんは『売上』を使う」「かための文書では会社や公的なルールに合わせる」といった、場面ごとの考え方や、自分なりの表記ルールを決めるときのヒントを整理していきます。
「売り上げ」「売上げ」「売上」の違いと共通点
まずは、「売り上げ」「売上げ」「売上」という3つの書き方に、どんな違いと共通点があるのかを押さえていきます。
3つの書き方の主な違い
売り上げ
「売り上げ」は、「売る」と「上げる」という二つの動きが、そのまま見た目にもあらわれている書き方です。ひらがなが多めなので、やわらかくてていねいな印象になりやすい形です。
売上げ
「売上げ」は、その中間のような形で、「売る」の「り」が抜けている分、文字数は少しだけコンパクトです。「売上げ高」のように見出しで使われていることもあり、きっちりした雰囲気と読みやすさの中間くらいの印象になります。
売上
「売上」は、送り仮名をすべて省いて漢字二文字にした形で、いちばんスッキリしています。表やグラフ、資料の項目名などでよく見かける形で、ぱっと見で目に入りやすく、数字と並べてもバランスが取りやすいのが特徴です。
どの書き方も、「商品やサービスを売って入ってきたお金」という意味の中心は変わりません。
書き方によって意味が別物になるわけではないので、「場面や見た目に合わせて選ぶ」イメージで大丈夫です。
昔と今でよく使われる書き方の違い
昔は、日本語のルールを重んじる流れから、「売り上げ」と送り仮名を付ける書き方がよく使われてきました。その後、パソコンや資料作成ソフトが当たり前になると、スペースを取らず見た目もそろえやすい「売上」という形が広く定着してきました。
今は、年代や業界によって自然に選ばれる形が少しずつ違うものの、「売り上げ」も「売上」も、それぞれの場面で使われている、というイメージでとらえておくと分かりやすいです。
一般的な「うりあげ」の書き方(ふだんの生活・ビジネス)
ここからは、ふだんの生活や仕事の中で、「うりあげ」と書きたいときにどの形を選べばよいかを見ていきます。「絶対にこの形だけが正解」というより、「この場面ではこの書き方が使いやすい」という目安として参考にしてください。
メールや書類では「売上」がいちばん一般的
ビジネスの場面では、メールやエクセル表、報告書などで「売上」と漢字二文字で書く形が今は一般的です。
短くて表や画面に収まりやすく、「売上表」「売上報告」などの見出しにも使いやすいため、「迷ったら『売上』で統一」というスタイルを取っている会社も少なくありません。
「売り上げ」「売上げ」も間違いではない
「売り上げ」は、ひらがなが入るぶん、「売上」だけの表記よりもやわらかく見える書き方です。「売上げ」は「売上」と「売り上げ」の中間のような表記で、会社や文章の雰囲気によって選ばれることがあります。
どの形も意味は同じなので、重要なのは「この資料の中でどれにそろえるか」です。
「基本は『売上』、ていねいなお知らせでは『売り上げ』」のように、社内でおおまかな方針を決めておくと、読み手も迷いにくくなります。
売上高・売上金額など、他の言葉と組み合わせるときの書き方
「売上高」「売上金額」「売上目標」などのように、ほかの言葉と組み合わせるときは、「売上」と漢字二文字でつなげる形が一般的です。
見出しや表では短くまとまった「売上高」が読みやすく、言い方としても定着しています。「複合語は『売上高』『売上目標』と統一し、その説明文の中で『売上』か『売り上げ』を選ぶ」と決めておくと、ルールが整理しやすくなります。
「売上がふえる」「売り上げる」など動きをあらわすときの書き方
「売上がふえる」「売り上げる」のように動きを表すときは、公用文でもふだんの文章でも、ひらがなを多めに使った「売り上げる/売り上げた」と書くことが多いです。「売上げる」と書くよりも、「売る」というもとの動きが見えやすく、読みやすい形になります。
たとえば、
- 新製品を売り上げた数量
- 今期は前年より多く売り上げることを目標とする
のように書くと、意味がすっと入ってきます。
ざっくりまとめると、
- 数字そのものを名詞として表すとき → 「売上」
- 売る動きそのものを表すとき → 「売り上げる」
という分け方で考えておくと、場面ごとの書き方を選びやすくなります。
エクセルやグラフ・資料の見出しで読みやすい「売上」の書き方
エクセルの表やグラフのタイトルには、短くてひと目で意味が伝わる「売上」「売上高」のような言葉が向いています。文字数が多い「売り上げ」「売り上げ額」は、列幅やスマホ画面では読みにくくなりがちだからです。
また、「売上(円)」「売上高(万円)」のように単位も書いておくと、数字の意味がひと目で分かります。社内や自分の資料では、「見出しは『売上』で統一する」などルールを決めておくと、見た目がそろってスッキリします。
『送り仮名の付け方』のルールから見た「売り上げ・売上げ・売上」
ここでは、国が定めた「送り仮名の考え方」をもとに、「売り上げ」「売上げ」「売上」がどう扱われているかを整理します。
「売り上げ」「売上げ」「売上」のような表記ゆれも、この送り仮名のルールの中で、どこまで許容するかが決められています。
送り仮名の基本ルールをかんたんにおさらい
送り仮名の基本的な考え方は、「読み方や意味が分からなくならないように、必要なひらがなは残しましょう」というものです。
「売り上げ」はその考え方に沿った基本の書き方ですが、「売上げ」「売上」のようにひらがなを減らした形も、ビジネスの文章や資料ではよく見かけます。
すべての言葉について細かく「この形だけ」と決めてしまうと、書く人の負担が大きくなり、言葉の変化にも対応しにくくなってしまいます。そのため、「これが基本の形」「ここまでは省いてもよい」といったように、ある程度の幅を持たせた決め方になっているのがポイントです。
売り上げ・売上げ・売上がどれも間違いではない理由
送り仮名のルールでは、「基本形」となる書き方と、「これくらいなら認めましょう」というゆるやかな範囲の書き方が区別されています。「売り上げ」の場合は、「売り上げ」とひらがなを多めに残した形が基本形として示されています。
一方で、ふだんの生活やビジネスの場面では、「売上げ」や「売上」といった短い形もよく使われていて、多くの人が自然に「うりあげ」と読めるようになっています。
つまり、「売り上げだけが正解で、ほかはすべて誤り」というわけではなく、場面に合わせて、ていねいな形と実務的な形を使い分けられる、という考え方になっているのです。
送り仮名を省いてもよい場面の考え方
送り仮名を省いてよいかどうかを考えるときは、
- 省いても読み方が変わらないか
- 意味が分かりにくくならないか
この2つが目安になります。「売上」は「うりあげ」と読む形がよく知られているので、多くの場面で問題なく使われます。
ただ、送り仮名を省くと読み方に迷いが出そうな言葉は、省かないほうが安心です。また、同じ資料の中で「省く/省かない」がバラバラだと読みにくくなるので、「表やグラフでは省く」「説明文では『売上』でも『売り上げ』でもOK」のように、自分なりの線引きを決めておくと判断しやすくなります。

結局のところ、いちばん大切なのは読みやすさです。
公的な文書や社内規程での「売り上げ」の書き方の基本
ここでは、役所からのお知らせや会社の規程集など、「公用文」と呼ばれるかたいタイプの文章で、「うりあげ」がどのように書かれてきたかを見ていきます。
公用文では「売り上げ」を基本に考える理由
公用文の世界では、読む人が変わっても意味の受け取り方が変わらないように、できるだけ同じ書き方をすることが大切にされています。そのため、送り仮名についても公的な基準が定められています。
「売り上げ」にあたる言葉については、この基準の中で、「売り上げ」のようにひらがなを残した形を基本とする考え方があります。もとの動きが分かりやすく、公的な文書にも合う書き方だからです。
とはいえ、これはあくまで公用文の中でのルールです。日常のメールなどでそこまで気にする必要はありませんが、役所の書類や就業規則などで「売り上げ」「売上げ」といった書き方がそろえて使われているのは、こうした決まりに沿っているためだと知っておくと理解しやすくなります。
売上高・売上金など、公用文でも送り仮名を付けない言葉
公用文でも、「売上高」「売上金」「売上額」のように、あとに別の言葉がついて一つの用語になっている場合は、送り仮名を付けない形が選ばれることがあります。
「売上高」という言葉は、「売り上げた金額」という意味のセットとして新聞や決算書で広く使われているため、漢字だけでも自然に意味が伝わります。長い用語の中にひらがなが多く入ると読みにくくなることもあるため、「読みやすさ」を考えて送り仮名を省くことがある、というイメージでとらえておくとよいでしょう。
辞書・新聞・公用文の書き方のちがい
辞書には「売り上げ」「売上」「売上げ」など、いくつかの形が並んで載ることがあります。辞書は「こう書くべき」ではなく、「実際にこう書かれていることが多い」という例をまとめたものだからです。
新聞は社ごとのルールがあり、「売り上げ」とする社もあれば「売上」とする社もあります。公用文では、表記をそろえることが重視され、「売り上げ」を基本としつつ、「売上高」のような定着した用語では送り仮名を省くこともあります。
このように、辞書・新聞・公用文にはそれぞれ考え方があり、「どれか一つだけが正解」というわけではありません。自分が書く場面に合った書き方を選べば十分です。
売上・売り上げ:迷ったときのチェックリスト
ここでは、「いざ書こうとしたとき、どの形にするか決めきれない…」というときのために、考え方の道しるべをチェックリストの形でまとめます。
メール・社内文書・公的なお知らせでの使い分け
まず、「誰に向けた文章か」「どれくらいかたい場面か」を考えます。上司や同僚へのメール、社内だけの資料なら、多くの人になじみのある「売上」でそろえると、見た目もすっきりします。
会社の外に出す案内文や規程・契約書などのかたい文書では、社内ルールやひな形に合わせて「売り上げ」や「売上げ」を使うのが自然です。
「ふだん使いなら『売上』、かための場面なら会社の決まりに合わせる」といったざっくりした方針を決めておくと、その都度迷わずにすみます。
文書や会社での「売上」表記のそろえ方
迷いを減らす近道は、「この場所ではこの書き方」と先に決めておくことです。
たとえば
- 文書:見出しや図表は『売上』、本文は『売上』でも『売り上げ』でもOK
- 会社:社内資料は『売上』、社外向け文書はルールに合わせて『売り上げ』などの表記にそろえる」
といった具合にざっくり決めて共有しておくと、書くときの迷いが少なくなります。

こうしたルールは、実際に使いながら「こっちが読みやすい」と感じたタイミングで少しずつ見直していけば十分です。
よく使うテンプレートを見直す
見積書・請求書・売上報告書など、いつも同じ形で作る書類には、「売上」「売上高」などの表記をあらかじめ入れたテンプレートを用意しておくと便利です。毎回考え直さずにすみ、「この漢字でよかったかな?」と確認する時間も減らせます。
テンプレートの時点で「売上」か「売り上げ」かを決めておけば、その後に作る書類の表記も自然とそろい、複数人で使う場合でも表記ゆれが起きにくくなります。
売り上げ・売上げ・売上の書き方Q&A(FAQ)

ここでは、本文で詳しく触れた内容の中から、とくに混乱しやすいところを、短くまとめておきます。
Q. 「売上」と「売上高」は同じ意味ですか?
まったく同じ言葉ではなく、「売上」は売れたお金全体を指し、「売上高」は一定期間にまとまった金額のイメージが強い言葉です。ただ、日常会話や簡単な資料では、そこまで厳密に分けず、ほぼ同じような意味で使われることも多いです。
Q. 履歴書や職務経歴書にはどの書き方を使えばよい?
履歴書や職務経歴書のような、ややかための書類では、「売上」か「売り上げ」のどちらかにそろえておくと読みやすくなります。短くて見やすい「売上」を選ぶ人も多いですが、いちばん大切なのは、同じ書類の中で表記を統一していることです。
Q. 請求書や見積書の項目名は「売上」と「売上高」どちらがよい?
請求書や見積書では、「売上」「売上高」のどちらもよく使われていますが、スペースを考えると短い「売上」が扱いやすいことが多いです。すでに会社で決まった書式がある場合は、その書き方に合わせておくと、ほかの書類との表記が自然にそろいます。
Q. ファイル名やエクセルのシート名をそろえるときの考え方は?
ファイル名やシート名には、短く検索もしやすい「売上」を使うと便利です。同じフォルダの中で「売上」と「売り上げ」が混ざらないよう、どちらか一方に決めてそろえておくと、一覧で見たときに分かりやすくなります。
『売り上げ』と一緒に覚えたい送り仮名に迷いやすい言葉
ここまでが、「売り上げ/売上げ/売上」の書き方についてのメインのお話でした。ここからは、同じように送り仮名で迷いやすい言葉も、あわせていくつかご紹介します。
申し込み/申込み/申込の書き分け
申し込み
「申し込み」は、「申し込む」という動きがはっきり見える、いちばんていねいで分かりやすい形です。「お申し込みの流れ」のような説明文では、この形にそろえておくと、文章全体が落ち着いた印象になります。
申込み
「申込み」はビジネス文書などで目にすることもありますが、迷ったときは「申し込み」に統一しておくと、書き手も読み手も迷いにくくなります。
申込
「申込」は「申込書」「申込日」など、項目名としてよく使われる短い形です。「売上」と同じように、動きや流れを説明するときはひらがな多め、項目名やラベルでは漢字だけ、と分けて考えておくと、表記を選ぶときの迷いがぐっと減ります。
取り扱い/取扱い/取扱の書き分け
取り扱い
「取り扱い」は、「取り扱う」という行動がそのまま見える書き方で、注意書きや案内文などによく使われます。「商品の取り扱いについて」「デリケートな商品のため、お取り扱いにはご注意ください」などと書くと、丁寧でやわらかな印象になります。
取扱い
「取扱い」は、その中間のような形で、「取扱い説明」「取扱い方法」と表記されることもありますが、迷ったときは「取り扱い」にそろえておくほうが、読み手には自然に映る場面が多いでしょう。
取扱
「取扱」は、「取扱説明書」「取扱商品」「取扱店舗」など、一まとまりの名称として用いるときによく登場します。商品パッケージや家電の付属文書でも、限られたスペースに情報を収めるために選ばれることが少なくありません。
ここでも「売上」と同じように、「文中でふつうの言葉として使うときは『取り扱い』、名称やラベルとしては『取扱』」というふうに決めておくと、表記を選ぶ基準がはっきりし、全体の印象も整えやすくなります。
日付け/日付など、よく一緒に迷う表記
日付
「日付」は、書類の項目名やカレンダーなどでいちばんよく使われる形です。「日付欄」「日付を記入してください」といったように、見た目もすっきりしていて、多くの人になじんでいます。
日付け
「日付け」は「日付けを書く」といった動きを表す書き方ですが、今はそれほど頻繁には使われません。会社やメディアによっては、表記ルールとして「日付」に一本化しているところも少なくないでしょう。
「売り上げ」と同じように、「どちらも目にすることはあるけれど、自分はどちらにそろえるか」を決めておくと迷いが減ります。実務では「項目名や説明文では『日付』に統一」という考え方が一般的なので、そのまま採用してしまって問題ありません。
気になる言葉が出てきたときは、「日付に統一」などとメモしておくと、次に書くときの小さなルール帳になって役立ちます。
まとめ:自分の中で「売上/売り上げ」のルールを決めておくとラクになる
「売り上げ」「売上げ」「売上」は、どれか一つだけが特別に正しいというより、意味の中心は同じで、場面ごとに向いている書き方や、よく使われている形が少しずつ違う言葉でした。
その分、「いつもどれを選べばいいのか分からない」と感じることもありますが、裏を返せば、状況に合わせてほどよく使い分けられる言葉でもあります。
「仕事の資料ではこう書く」「自分の文章ではこの形を使う」といった、自分なりのルールをいくつか持っておくと、毎回の迷いがぐっと減っていきます。
この記事の内容が、「売上/売り上げ」の書き方を決めるときの、小さな指針になればうれしいです。
・以後と以降の違いと使い分け完全ガイド!類語もまとめて解説
・適切・適当・適正の違いと使い分け【例文・類語・言い換え】
・お礼・御礼・謝礼でいちばん丁寧なのは?違いや迷わない使い分け