シャチハタは宅配便の受け取りや社内書類などでよく使われていますが、契約書や銀行・役所の手続きでは「シャチハタ不可」と書かれていることがあります。
なぜ同じ印鑑でも使える場面と使えない場面があるのでしょうか。
そこには、印影の信頼性や本人確認、保存性といった大事な理由があります。
この記事では、シャチハタが使えない理由や普通の印鑑との違いをわかりやすく整理し、誤って押してしまったときの対応方法も紹介します。
さらに、近年進んでいる「印鑑不要の流れ」や、宅配便で広がっている「置き配達(押印なしで受け取れるサービス)」についても触れていきます。読み終えたあとには、シャチハタをどんな場面で使えばよいのかが自然と見えてくるはずです。
なぜ「シャチハタ不可」と言われるのか

日常生活では「シャチハタ」という言葉がインク浸透印全般を指すことも多いですが、本来は株式会社シヤチハタの商品名であり、登録商標です。
100円ショップや通販で販売されているのは、正確には「シャチハタ形式の浸透印」です。
この記事では一般的な表現として「シャチハタ不可」と表記しますが、意味としては「浸透印不可」ということを指しています。
宅配や社内のちょっとした書類では普通に使われる一方、契約書や役所の届出では「不可」とされる――このギャップが混乱のもとです。この記事では、不可とされる根拠、普通の印鑑との違い、誤って押したときの正しい対応までを整理し、迷わない使い分けの基準をお伝えします。
シャチハタを使ってはいけない場面と正しい修正方法
信用性や保存性が重視される手続きでは、シャチハタ形式の浸透印は基本的に使えませんが、もし間違って押してしまっても、落ち着いて対応すれば解決できます。
契約書・役所の届出でNGなケース
契約書や雇用契約、役所の各種申請書などは、将来的に見返したり法的に証明したりすることを前提に作成されます。
シャチハタ形式の浸透印は誰でも入手できて印影が均一なため、本人確認や証拠力の点で不十分と判断されがちです。
そのため「シャチハタ不可」と明記されている場合が多く、提出先から差し戻されることもあります。
訂正や差し替えが必要になる場合
万が一、シャチハタ形式の浸透印で押してしまった場合は、まず相手に連絡を入れることが大切です。
独断で修正するのではなく、指示に従って訂正印を押すか、改めて新しい書類を作り直すのが一般的な対応です。
訂正印を使う場合は朱肉を使った認印や実印で行う必要があり、書類差し替えになることも少なくありませんが、誠意を持って正しい方法で修正すれば、問題なく受理してもらえることがほとんどです。
なぜシャチハタは使用できないのか?
便利な浸透印が使えないのは、「本人確認」「証拠力」「保存性」といった観点で十分でないとされるからです。
シャチハタは「バレる」と言われる理由
浸透印はインク浸透式で、誰が押しても同じような印影になるため、押した本人を特定する手がかりが少なく、「スタンプの印影だ」とすぐに分かってしまうのです。
担当者から見ても、「これは浸透印だから正式な印鑑ではない」と判断されやすくなります。
つまり「バレる」と言われるのは、印影に個性がなく区別できないからです。
公的書類に不向きな理由
もう一つの理由は保存性です。
公的書類は長期間にわたり保管されることが多いですが、シャチハタ形式の浸透印のインクは時間が経つと色が薄れたりにじんだりしやすく、コピーやスキャン時にも不鮮明になります。こうした点から、公的な書類には不向きとされているのです。

こうした点から、公的な書類には適さないとされているのです。
なぜ気軽に買えるシャチハタが「不可」なのか?
100円ショップや通販で簡単に入手できる浸透印。その手軽さが「不可」とされる理由の一つでもあります。
100円ショップや通販で誰でも入手できる
浸透印は同じ苗字のものが全国で販売されていて、通販でもすぐに手に入り、本人以外でも同じ印影を用意できてしまうため、「本人しか持っていない印」という唯一性が弱くなります。
これが重要な契約や届出で「不可」とされる理由の一つです。
インク・印影の信頼性が低い
浸透印のインクは紙質や環境によってにじみやすく、時間が経つと判読しにくくなることがあります。
印影が均一すぎて個性が出にくいため、「本当にその人が押したのか」を判断する材料が乏しいのも弱点です。
普通の印鑑が「有効」なのはなぜ?

普通の印鑑も店や通販で簡単に買えますが、「有効」とされるのは使い方と制度の違いによるものです。
印鑑登録制度と唯一性
市区町村には「印鑑登録」という制度があり、登録した印影は「本人のもの」として証明されます。
同じ苗字の印鑑でも、彫り方やサイズに微妙な差があり個性が出ます。登録されることで「この印影は本人のもの」と認められるのです。
朱肉式印鑑の痕跡性と証拠力
朱肉を使う印鑑は押すたびに微妙に印影が変わります。
これが「本人がその場で押した証拠」となり、長期保存しても劣化しにくいため、法的な証拠としての価値も高いのです。
シャチハタと正式な印鑑の違い(比較表)
浸透印と正式な印鑑の違いは、
- 印影の均一性
- 保存性
- 唯一性
- 登録制度の有無
- 用途の広さ
にあります。
浸透印はスピーディーに押せて便利ですが、証明力や保存性は不足しがちです。正式な印鑑は手間がかかるものの、証拠性や信頼性があります。
シャチハタ(浸透印)が使える場面
日常的な受け取りや社内の確認ではシャチハタ形式の浸透印が便利に使えますが、契約や金融、不動産のように法的効力を伴う書類では使用できません。迷うときは提出先や規程を確認することが一番安心です。
シャチハタ形式の浸透印が使える場面
- 宅配便の受け取り
- 社内の回覧書類やメモ
- 社内稟議や簡易な確認書(会社規程で認められている場合)
- 回覧板や町内会の受領印
- 宅配ボックスや置き配達での印鑑代わり
- 領収書や簡単な受領確認
シャチハタ(浸透印)が不可とされる代表的な書類
どんな書類で使えないのかを具体的に知っておくと安心です。
契約関係の書類
売買契約や雇用契約などは、当事者の意思を法的に残す重要な書類です。後から証明する必要もあるため、シャチハタ形式の浸透印は不可とされ、認印や実印が求められます。
金融機関の手続き
銀行口座の開設やローン契約、名義変更などは金融機関にとっても重要な手続きです。届出印と同じ印鑑であることが求められるため、浸透印のシャチハタは使えません。
登記・相続関連の書類
不動産登記や相続手続き、遺産分割協議書などは長期間にわたり効力を持つ書類です。印鑑証明書とセットで実印を使う必要があり、シャチハタ(浸透印)は不可とされています。
誤ってシャチハタを押してしまった場合の対応

誤って浸透印を押してしまった場合も、冷静に相手へ相談して正しい方法で対応することが大切です。
相手への連絡方法
まずは提出先や担当者に「浸透印で押してしまった」と伝えましょう。正直に伝えることで、再提出や訂正の方法を案内してもらえます。
書類差し替えの進め方
指示に従い、新しい書類に正しい印鑑で押印します。古い書類は無効になるので、差し替えの事実を残しておくと安心です。
訂正印で対応できるケース
小さな訂正で済む場合は、訂正印で対応できることもあります。ただし、このときもシャチハタ(浸透印)ではなく朱肉を使った印鑑が必要です。訂正方法は相手の指示に合わせるようにしましょう。
トラブル事例と予防チェックリスト

よくある失敗事例を知っておくと、事前に防ぎやすくなります。提出前にチェックしておくと安心です。
実際によくある失敗例
「シャチハタ不可」とある書類に浸透印を使ってしまい差し戻しになる、訂正方法を間違えて修正テープを使ってしまう、割印を忘れてしまうなどのケースが多いです。いずれも少しの確認不足で起きやすいミスです。
提出前の確認ポイント
印鑑の種類は合っているか、印影が鮮明か、割印や訂正印が必要な箇所に押されているかなどを確認してから提出すると安心です。事前のチェックリストを活用すれば、トラブルをぐっと減らせます。
押印廃止・印鑑不要の流れとシャチハタ問題
最近では「押印廃止」や「印鑑不要」の流れが進み、印鑑文化そのものが少しずつ変わってきています。
行政の手続きや大企業の契約では押印が不要になり、電子署名や電子契約サービスに移行するケースが増えています。ただし、不動産や相続、金融関連の書類では今も印鑑が求められる場面があり、特に「シャチハタ不可」とされることは変わっていません。

つまり今は「印鑑が要らない場面」と「印鑑が必須の場面」が共存している時期なのです。
よくある疑問(FAQ)

よくある疑問をまとめました。迷ったときの参考にしてください。
Q.訂正印にシャチハタは使える?
訂正印は書類の正しさを証明する大切な印鑑なので、シャチハタ(浸透印)ではなく朱肉を使う認印や実印が必要です。相手に確認して進めると安心です。
Q.宅配の受取に使っても大丈夫?
宅配便や回覧板など日常の場面ではシャチハタ(浸透印)を使っても問題ありません。最近は置き配達など印鑑を使わない受け取り方法も増えているので、状況に合わせて選べます。
Q.会社の稟議はOK?
社内での書類は会社のルールによって異なります。シャチハタ(浸透印)でよい場合もあれば、認印を求められることもあるので、規程を確認しておくと安心です。
Q.「シャチハタ不可」と書かれていない場合は?
明記がない場合でも、重要な契約や金銭に関わる書類は朱肉を使った印鑑を選んだ方が無難です。迷ったら提出先に確認するのが確実です。
Q.電子印鑑や署名との違いは?
電子印鑑は便利ですが、法的に有効かどうかはサービスや契約内容によって変わります。電子署名や電子契約システムは本人確認や改ざん防止の仕組みが整っており、押印廃止の流れともつながっています。
まとめと今後の押印事情
シャチハタが「ダメ」とされるのは、押した印影がどれも同じで区別がつきにくく、証明力に欠けるうえ、長く保管する書類には向かないからです。
一方で、普通の印鑑は印鑑登録の制度や朱肉を使うことで唯一性が認められ、契約書や銀行の手続きといった重要な場面でも使われています。つまり大切なのは、「どんな書類にどんな印鑑を使うか」を場面ごとに考えることです。
最近は行政や企業で「印鑑不要」の流れが進み、宅配便でも「置き配達」のように押印なしで受け取れるサービスが増えています。それでも、相続や不動産、金融の手続きなどでは今も「シャチハタ不可」とされるケースがあります。これからは、時代の変化を意識しながら、状況に合わせて印鑑や署名を選んでいくことが、安心して手続きを進めるための大きな助けになるでしょう。