スペイン料理の定番「パエリア」は、使うお米の種類や扱い方が仕上がりに大きく影響します。
中でも意外と知られていないのが、「お米を洗わない」という基本ルール。
- なぜ洗わないのか?
- 洗った場合に何が変わるのか?
この記事では、パエリアに適したお米の選び方から、洗わない理由、洗ってしまった時の対処法、料理別の使い分けまでをわかりやすく解説します。
これからパエリア作りに挑戦したい方も、より本格的な味を目指したい方も、ぜひ参考にしてください。
パエリアのお米を洗わない理由

パエリアを作る時のお米の選び方
パエリアは、スペインの代表的な米料理であり、使用するお米の種類によって出来栄えが大きく変わります。
日本で普段食べられている短粒米(コシヒカリやあきたこまちなど)は、水分を多く吸収し粘りが強いため、パエリアにはあまり適していません。
パエリアには、中粒〜やや長粒の粘りが少ないお米が最適で、代表的なのがスペイン産の「バレンシア米」や「ボンバ米」です。
これらは適度に水分を吸いながらも崩れにくく、スープの旨味をしっかりと吸収して粒感のある仕上がりになります。
お米を洗わないメリット
お米を洗わない最大のメリットは、表面に付着しているデンプン質が残ることで、調理中にスープの味をしっかりと引き込み、風味豊かな仕上がりになる点です。
また、洗ってしまうと表面の油分や旨味の元まで落としてしまい、味の一体感や香ばしさが損なわれる原因になります。
さらに、洗わないことでお米がべたつきにくく、パラっとした食感に仕上がるため、
パエリアの特徴である「粒立ち」と「おこげ(ソカラ)」の両方が生かされます。
洗った時との食感の違い
洗ったお米は、表面のデンプンが落ちることで粘りが少なくなる一方、必要以上に水分を吸ってしまうため、柔らかくふやけたような仕上がりになります。
特にパエリアのように鍋で炊き上げる料理では、洗ったお米は水加減や加熱時間がシビアになり、ベチャついたり、味が薄まったりするリスクが高まります。
これに対し、洗わないお米は吸水に時間がかかる分、スープの風味をしっかりと取り込みつつ、粒感を保ったまま炊き上がるため、しっかりとした食感と味の深みが得られます。
パエリアの美味しさを決めるのは、スープと具材の旨味がどれだけ米に染み込んでいるかです。米の表面に残る微細なデンプン質は、スープの濃厚なエキスを吸収する“受け皿”のような役割を果たします。
さらに、デンプンによって米がスープとより密着し、全体の味の一体感が生まれます。米を洗ってしまうとこの“味を抱える力”が弱まり、どこか味気ない仕上がりになってしまうことがあります。
パエリア専用のお米とは?
スペインには、パエリアのために開発・栽培されている専用のお米があります。
代表的なのは「ボンバ米(Bomba)」で、これは粒が小さめで中心まで均一に火が通りやすく、炊いても粒が割れにくいのが特徴です。
また、「セニア(Senia)」という品種も人気があり、こちらはよりジューシーでしっとりした仕上がりになります。
いずれも、炊き込み中に味をしっかり吸っても崩れないため、理想的なパエリアに仕上がります。
これらの品種は高価ではありますが、本格的なパエリアを目指すなら一度は使ってみたいお米です。
パエリアに使うお米のポイント
パエリアに適したお米の条件は、「粘りが少なくて、水分を吸いすぎないこと」「炊き崩れしにくいこと」「粒が立ちやすいこと」の3点です。
理想はバレンシア米やボンバ米ですが、入手が難しい場合は、タイ米(ジャスミンライス)やインディカ米を使ってもパラっとした仕上がりになります。
無洗米も代用品として活用できますが、その場合は軽く水に通すだけにして、過剰な洗浄は避けましょう。
日本米を使う場合は、粘りの少ない品種を選び、水加減や火加減に注意を払いながら調理することが重要です。
パエリア米を
パエリアを作る米を洗ってしまったら
もし誤ってパエリア用のお米を洗ってしまった場合でも、いくつかの調整を行えば十分リカバリー可能です。
まず、お米がすでに水分をある程度吸っているため、スープや水分の量は通常よりも少なめに調整します。
また、炊き時間も若干短くし、蒸し過ぎないよう注意が必要です。さらに、仕上げに強火で加熱して水分を飛ばしつつ、鍋底にしっかりとおこげ(ソカラ)を作ることで、香ばしさと食感を補うことができます。
水分量と火加減の微調整が、仕上がりの差を埋める鍵となります。
調理法別の米の使い方
料理の種類によって、お米を洗うか洗わないかの判断は変わります。
たとえば、白ご飯や炊き込みご飯、和風の煮込み料理では、ぬかの匂いを取り除いたり、粘りを抑えるために洗うのが一般的です。
しかし、パエリアやチャーハン、ピラフのようにお米に味を染み込ませつつパラっと仕上げる料理では、洗わない方が適しています。
リゾットの場合は少量ずつスープを吸わせながら炊いていくため、多少洗っても構いませんが、基本的に洗わない方がデンプンが残り、クリーミーさが引き立ちます。
洗った米のパエリアとリゾットの食感比較
洗った米でパエリアを作ると、粒が柔らかくなりやすく、全体がややベタついた食感になります。
これはリゾットには適した状態であり、クリーミーでとろみのある仕上がりになりますが、パエリア本来の「粒立ち」と「香ばしさ」が損なわれてしまいます。
リゾットはお米の粘りを活かす料理であり、対してパエリアは水分を飛ばしながらスープの旨味だけを米に吸わせ、パラっとした食感とおこげの香ばしさを楽しむ料理です。
この違いを理解して、目的に応じた米の扱い方を意識すると、料理の完成度が大きく向上します。
パエリアに最適なお米の種類

バレンシア米とジャスミンライスの違い
バレンシア米
バレンシア米は、スペイン・バレンシア地方原産の中粒米で、パエリアの本場でもっともよく使われている品種です。
炊き上がりがふっくらとしており、粘りが少なく、粒がしっかり立つのが特徴ですが、スープをじっくり吸っても崩れにくいため、理想的なパエリアの仕上がりが得られます。
ジャスミンライス
一方、ジャスミンライスはタイを代表する香り米で、細長い形と上品な香りが特徴です。
やや柔らかめの仕上がりですが、香り高い魚介パエリアやエスニック風アレンジに適しており、異なる個性で楽しむことができます。
他の品種との食感の違い
日本の一般的な短粒米(コシヒカリ、あきたこまちなど)は、粘りが強く、水分を多く含みやすいため、パエリアには不向きです。
炊いたときにベタつきやすく、粒がくっついてしまうため、パエリアの魅力である「パラっと感」が出にくくなります。
これに対してインディカ米や長粒米は粘りが少なく、スープとの分離が良いため、粒の輪郭がはっきりとし、噛むほどに味が広がる仕上がりになります。
中粒で水分バランスの取りやすいボンバ米やカルローズ米なども、家庭でのパエリア作りにおいて非常に扱いやすい品種です。
フライパンでパエリアを作る時のポイント
パエリアパン(パエジェラ)がなくても、家庭用の大きめのフライパンで十分にパエリアを作ることが可能です。
底が広くて熱伝導の良いフライパンを使うことで、米に均一に火が入りやすく、焦げ付きも適度に作れます。
特に洗っていないお米はスープとのなじみが良いため、火加減次第で理想的なおこげ(ソカラ)も作れます。
フライパンでの調理では、米が重ならないよう、やや平らに広げて加熱するのがポイントです。
洗ったお米ではベタついて焦げがつきにくくなるため、使用する米の特性に応じて工夫しましょう。
パエリアのお米を洗わない理由とは?洗った時との違いも解説 のまとめ
パエリアにおいては、「お米は洗わない」というのが基本のルールで、しっかりとした理由があります。
洗うことで失われるデンプン質が、うまみや食感に直結するため、あえて洗わずに使うことで、パエリア特有のパラッとした仕上がりと、具材から染み出る味わいを最大限に引き出すことができます。
また、バレンシア米や日本米など品種によっても食感は異なり、仕上がりを左右します。万が一お米を洗ってしまった場合のリカバリー法や、代用品、調理時の注意点も把握しておけば、失敗なく美味しいパエリアを楽しめます。
この記事を参考に、パエリア作りにお役立ていただけるとうれしいです。

