同じ漢字の「叩く」でも、読み方が「はたく」になるときと「たたく」になるときがありますが、どちらが正しいか迷った経験はありませんか。
実は、力の強さだけで決まるわけではなく、「何をしたい動きか」で自然に選べます。
ほこりや花粉を“払ってどかす”なら「はたく」、机や太鼓、ドアなどに“当てて音や合図・衝撃を出す”なら「たたく」。
この記事では、この基本を起点に、日常で迷いがちな場面の使い分けや、方言と誤解されやすい理由まで、やさしい言葉で丁寧に整理します。
結論:同じ「叩く」でも“はたく”と“たたく”は目的と動きで使い分ける
まず最初に結論を伝えておきます。
漢字は同じ「叩く」でも、読み方が違うと意味や使い方が変わります。
- はたくは“表面のものを払い落とす”
- たたくは“当てて音や衝撃を出す”
上記のときに使うのが基本です。方言と思われがちですが、どちらも全国で通じる標準的な表現です。
「叩く」の読み方が二つある理由
同じ漢字に二つの読み方があることは少し不思議に感じます。ここでは歴史や言葉の成り立ちをたどり、どうして二つの読みが生まれたのかを見ていきます。
もともと古語に由来する
「はたく」は古くは「はた(端)」という言葉から来ており、物の端を払う、そぎ落とすという意味を持っていました。「たたく」は音を出したり衝撃を与えたりする動きを指していました。昔から目的が少し違っていたことがわかります。
江戸期以降に意味が分かれてきた
江戸時代ごろから、人や物に対して音を鳴らす動作は「たたく」、表面を払う動作は「はたく」と分けられる傾向が強まりました。農作業や掃除の場面で「ほこりをはたく」という表現が定着したのもこのころです。
辞書では動作の方向と目的で区別している
国語辞典では
- 「はたく=払い落とす」
- 「たたく=打つ・音を出す」
という説明が見られます。
つまり、同じ漢字を使っていても動作の方向と目的の違いが読み方の分かれ目になっています。
“はたく”と“たたく”の意味と使い分け
ここでは、日常生活で迷いやすい使い方を整理します。力の強さよりも、動きの目的に注目するとわかりやすくなります。
はたく:表面のものを払い落とす動き
「はたく」はほこりや砂、虫などを軽く払い落とすときに使います。
たとえば布団をはたいてほこりを落とす、服についた花粉をはたくなどです。目的は“どかすこと”であり、音を出すことではありません。
たたく:対象に当てて衝撃や音を出す動き
「たたく」は机をトントンとたたく、太鼓をたたく、肩を軽くたたいて合図するなど、当てて反応を生じさせる動作を表します。目的は音や衝撃を与えることであり、何かを払い落とすわけではありません。
力の強弱よりも動きの目的で選ぶ
力が弱いから「はたく」、強いから「たたく」とは限りません。
弱くても音を出したり合図したりするなら「たたく」が自然ですし、少し強めでもほこりを払うなら「はたく」と言えます。
どちらも漢字は「叩く」と書けるが場面で使い分ける
文章ではどちらも「叩く」と書けますが、読みだけでは目的が伝わりにくいときがあります。
誤解を避けたい場合は、ひらがな表記(はたく・たたく)にすることで違いをはっきりさせることができます。
“はたく”と“たたく”は方言なのか
一部の地域で使われ方に特徴があり、方言と誤解されることがあります。ここでは地域差について整理します。
北海道でよく耳にするという声
北海道では「ほこりをはたく」という言い方を日常的によく使うため、「北海道特有の言葉では?」と思われることがあります。
実際は全国で通じる標準語
しかし「はたく」は北海道だけの言葉ではなく、全国的に使われています。地域によって頻度に差があるだけで、意味はどこでも通じます。
地域ごとの言い回しや頻度の違い
ある地域では「はたく」をあまり使わず、全部「たたく」と言ってしまうこともあります。こうした言い回しのクセが、方言だと勘違いされる理由の一つです。
実際の文章・会話での使い方
実際に文章や会話でどのように使われているかを例文で見てみましょう。目的を意識すると自然な言い方ができます。
はたくの使用例(ほこり・虫・花粉など)
- 服についた花粉をはたいて落とす
- 窓辺で虫をはたく
- 布団をはたいて干す
どれも目的は表面のものをどかすことです。
たたくの使用例(太鼓・机・肩・ドアなど)
- 太鼓をたたく
- ドアを軽くたたいてノックする
- 相手の肩を軽くたたいて合図する
これらは音や衝撃を生じさせる動作です。
子どもや学習者に説明するときの工夫
子どもには「はたくはサッと払う、たたくはトントンと当てる」という音のイメージで伝えると覚えやすいです。実物を使って見せるとさらにわかりやすくなります。
似た言葉との違いも整理
混同しやすい関連語と比べておくと、より正確に使えるようになります。
払うとの違い
「払う」は広い意味で“どかす・取り除く”を指しますが、その中の具体的な動作として「はたく」があります。
打つとの違い
「打つ」は道具や手で何かに力を加えて動かす・音を出す意味があり、「たたく」はその身近な表現です。日常会話では「たたく」がよく使われます。
たたき出す・はたき込むなど複合表現の整理
「たたき出す」「はたき込む」などは、基本の意味が広がった表現です。元の動きをイメージすると正しい使い方が見えてきます。
相撲の決まり手「叩き込み(はたきこみ)」
相撲の取り組みでも「叩く」と書いて“はたく”と読む技の「叩き込み(はたきこみ)」があります。
これは押し出そうと前に出てくる相手の肩や背を横から素早く“はたいて”体勢を崩し、そのまま土俵に倒す決まり手です。
ここでも「はたく」は、相手を打つのではなく“払う・ずらす”動きを意味しています。
力強く打ちつけるイメージの「たたく」とは違い、バランスを崩させるために手を素早く当てて払う動きが中心です。
このようにスポーツの用語でも、「はたく」は“払い落とす・ずらす”という本来の意味を保っていることがわかります。読み方を理解すると技のイメージもつかみやすくなります。
よくある質問(FAQ)

はたくとたたくの使い分けは、日常でよく迷いやすいテーマです。ここでは特に多く寄せられる疑問をまとめました。結論だけでなく、理由も添えているので安心して使い分けられるようになります。
Q. はたくとたたくは同じ「叩く」と書くのに意味が違うのはなぜ?
もともと古い日本語では、はたくは「ほこりを払う」動き、たたくは「打って音や衝撃を出す」動きを表していました。漢字が後から当てられたため、同じ文字で書けるようになりましたが、読み分けによって動作のニュアンスを伝えています。
Q. 力が弱いときは全部「はたく」でいいですか?
いいえ。力の強弱だけでは決まりません。軽くても、机をトントンと当てる、ドアをノックするなど音や合図を出す場合は「たたく」です。逆に強めでも、布団のほこりを落とすなど表面を払い落とす動きなら「はたく」を使います。目的を基準に判断するのがポイントです。
Q. 方言だと言われることがありますが本当ですか?
北海道など特定の地域でよく耳にするため、方言だと思われがちですが、実際は標準語です。地域によって使用頻度が違うだけで、意味は全国で通じます。
Q. 子どもに違いを教えるにはどう説明するとわかりやすいですか?
「はたくはサッと払う動き」「たたくはトントンと当てる動き」と音や動きのイメージを組み合わせて伝えるとわかりやすいです。例えば、クッションのほこりをはたく様子と、机を軽くたたく様子を見せると感覚的に覚えられます。
Q. 漢字とひらがなはどちらで書くのが正しいですか?
どちらも間違いではありませんが、文章で意味の違いをはっきりさせたい場合は、ひらがなで書くとわかりやすいです。特に学習教材や案内文ではひらがなを使うことが多いです。
Q. ビジネスメールではどう書くのが適切ですか?
ビジネスでは「ほこりを取り除く」「軽くノックする」など、動作を具体的に書くと誤解がありません。読み手に動作の目的が伝わるように書けば、はたく・たたくの区別にこだわる必要はありません。
Q. 人に対して「はたく」を使うのは失礼ですか?
場面によります。例えば「服についた花粉をはたく」は問題ありませんが、人に直接手を振り下ろす意味で使うと乱暴な印象になります。相手を気づかうなら「払う」や「軽く手を添えて取り除く」といった表現が無難です。
Q. 似た言葉の「払う」「打つ」とはどう違いますか?
「払う」は幅広く“どかす・落とす”という意味で使われ、その具体的な方法のひとつが「はたく」です。「打つ」はスポーツや楽器などに使われる“当てて動きを起こす”意味で、日常の身近な言い方が「たたく」です。
Q. 書き言葉ではどちらを使うべきか迷ったときは?
迷ったときは、文章の目的をはっきりさせると決めやすくなります。掃除やほこりを落とすなら「はたく」、合図や演奏なら「たたく」、それでも誤解がありそうなら「払い落とす」「軽くノックする」など具体的な表現に置き換えると安全です。
まとめ:動きの目的で読みを選べば迷わない!
同じ「叩く」でも、読み方は“動きの目的”で決めるとすっきりします。
表面のものを払い落とすときは「はたく」、対象に当てて音や合図・衝撃を出すときは「たたく」。力の強弱だけでは判断しにくい場面でも、目的(どかすのか、反応を出すのか)→ 方向(横に払うのか、まっすぐ当てるのか)→ 誤解の有無(必要ならひらがな・言い換え)の順に確認すれば、多くの場面で自然な言い方に落ち着きます。
地域で好まれる言い回しの差はありますが、どちらも全国で通じる表現です。
今日からは“動きの目的”を意識して読み分けて迷いがなくなればうれしいです。